似て非なる姉妹

今回のターゲットはそういう2台なのだが、第一印象は少し奇妙だった。というのもマセラティはアルファよりも50cmは長く、15cmは低く、つまり流麗に見えるというのに、目にした瞬間に魅了されたのはアルファのほうだったのだ。

8Cのルックスはどちらかと言えば奇異で正気の仕業とは思えず、そして同時に美麗この上ない。グランツーリスモSも同様に美しくはあるのだが、8Cを隣にしてしまうと、インパクトではまったく比較にならない。おそらくマセラティには見慣れてしまったからなのだろう。

さらに奇妙なのは、これだけ極端に、おもしろいほど外見が異なっているにもかかわらず、この2台がほとんど同一のメカニズムを共有しているという事実である。

まず第1にエンジンは、普通のウェットサンプ方式を採るマセラティに対してアルファはドライサンプではあるが、両者とも同じ4.7ℓのV8だ。よって出力もほぼ同等で、8Cは450ps/7000rpmと48.9kg-m/4750rpmを、グランツーリスモSは440psと50.0kg-mを同じ回転数で発生する。

そして、どちらのクルマもパドルシフト式の6段ロボタイズドMTを装備し、前後重量配分を適正化するためにトランスアクスルを採用している。

ランニングギアのパッケージングへと目を移すと、2台の相似性はさらに緊密さを増す。ホイールベースこそ30cmほど違うものの基本的なシャシーの構成はまったく同じで、サスペンションも同一（前後ダブルウィッシュボーンで、リアにはバンプへの対応力を増すためにトラックコントロールアームが追加されている）なのである。

ブレーキやステアリング、それにクラッチまでもが同じであり、ZF製のリミテッドスリップデフを装備する点も変わらない。

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