インタビュー 若きコーチビルダーの未来は デビュー作、テスラ・モデルSをめぐって

公開 : 2018.06.24 08:10

コーチビルド 進め方は顧客次第

コーチビルドを始めるにあたり、ファン・ロイには、彼のビジョンを理解し、プロジェクトに資金を提供してくれる顧客が必要だった。それが、医療会社で成功したオランダ人ビジネスマンのフロリス・デ・ラードであり、彼は生粋のシューティングブレーク好きだったのだ。

これまでに、シューティングブレークを購入しては、そのレストアを行ってきたが、新たな1台を創り出すために、彼は資金を惜しまなかった。「デ・ラードの興味が最新技術にあったので、テスラを選んだのです」とファン・ロイは話す。「彼が望んだのは、新たな時代の幕開けを告げるようなモデルでした」

プロジェクトのスタート時点で、このクルマはワンオフモデルである必要はないが、生産台数は20台以下の極く少数に留めることが決まった。そのため、ファン・ロイと彼のチームは、単にデ・ラードの要求に忠実であるよりも、むしろ様々なアイデアを出しながら顧客との作業を進めることができたのだ。


初期のスケッチだけで、500時間から600時間費やしたことを認めつつ、「3案を準備しました」とファン・ロイはいう。「プロジェクトのなかには、オーナーの好みを完ぺきなまでに反映する場合もあります。自宅へ出向き、そのカーコレクションに感嘆し、どんな音楽が好きか、何を求めているのかといったことを把握したうえで、特にボディカラーとトリムをはじめ、そのすべてをクルマに注ぎ込みます。顧客が増えれば、違ったやり方が必要になるかも知れませんが、それも素晴らしいことだといえます」

デザインが完了すると、ファン・ロイは、オランダ国王向けの車両生産でよく知られた、オランダのコーチビルダー、RemetzCarと協業することにした。「デ・ラードが彼らのことを知っていて、推薦してくれたのです。彼らにはすべてをハンドメイドできる技術がありました。アルミニウムを手で成形したり、巨大なルーフの形を創り出すためのガラス加工技術といったものです。彫刻は彼らの専門外だったので、われわれが担当しました」

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