スクラップマニア、廃車にこだわるコレクター いったいなぜ? 後編

公開 : 2018.08.25 12:10  更新 : 2019.05.04 13:03

飛行機に似た機構

単に処分してしまえば駐車場問題も解決するのに、なぜそうしないのかとお思いだろう。だがディックに会えばわかる。彼のCXにむけた情熱は、かつて携わっていた航空機整備の仕事と密接に絡み合っているのだ。

ヒースロー空港で43年働いた彼が始めに関わったのはロッキード・トライスターとビッカース・バイカウント、締めくくりはエアバスA320系だった。3年前に退職したとき、連れ合いに先立たれたような空白を感じたという。

「仕事に夢中でした」と彼は語りはじめた。「休みの日でも、頭にあるのは飛行機の油圧系やエンジンの問題のことばかりで、どうして解決しようかと知恵を絞っていました。わたしは根っからの技術者なんですよ」

16台ものCXへに入れこむカギはそこにある。つまりCXの先進技術、ひいてはハイドロニューマティック・サスペンションとその関連システムにこよなく惹かれているのだ。

ディックはつづける。「飛行機とおなじで、CXは機能の多くを油圧系に頼っています。LHM(CXの油圧回路を満たすオイル)のにおいは、1度嗅いだら中毒になりましたよ」

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