ボルボの新電動フラッグシップSUV『EX90』 ライバルは同門XC90プラグインハイブリッド EVならではの新世界か熟成の旨味か【森口将之が解説】

公開 : 2026.08.17 11:45

ボルボの新電動フラッグシップSUV、『EX90』を取材します。同門のXC90プラグインハイブリッドと同価格帯となり、いよいよ比較検討の対象となりました。EVならではの新世界か熟成の旨味か。森口将之が解説します。

XC90とアウターパネルは別物

ボルボは2年前、2030年までに全ての新車をEVとする目標を撤回すると発表した。しかしボルボは、EVシフトを諦めたわけではない。新しい目標は、2030年までに販売する新車の9割以上をEVかPHEVとするというもので、ペースを変えただけなのである。

事実欧州ではEX30に続いて、フラッグシップのEX90とES90、これとEX30の間を埋めるEX60が発表されている。

ボルボの新電動フラッグシップSUV『EX90』を取材。 
ボルボの新電動フラッグシップSUV『EX90』を取材。     平井大介

今回試乗したEX90は、車名の数字でわかるようにXC90のフル電動版と言える。ES90は同じSPA2プラットフォームを使用するハッチバックセダンで、セダンのS90だけでなくエステートのV90の役目も兼ね備える存在と言えそうだ。

ES90にはリアモーターRWDもあるのに対して、EX90はすべてツインモーターのAWDで、3グレードが用意される。試乗車は最上級である、ウルトラ・ツインモーター・パフォーマンスだった。

ボディサイズは、2985mmのホイールベースこそXC90と変わらないが、全長は80mm伸びて5035mm、全幅は5mm広がって1965mm、全高は35mm低くなって1740mmとなっている。この数字でわかるとおり、アウターパネルはXC90とは別物。フロントマスクをグリルレスにして、リアコンビランプをEX30に似た意匠にしただけではない。

ドア下部の彫りの深い造形はXC90にはなかったものだし、リアドアの三角窓はなくなって、リアクォーターウインドウは後端がせり上がった、XC60に似た造形になり、リアエンドは空力対策で絞り込まれ、Cd値0.29の実現に貢献している。

トールハンマーのヘッドランプが上下に開く

新しい装備としては、トールハンマースタイルのヘッドランプのLEDが上下に開いて、メインライトが現れるという仕掛けがある。昔のリトラクタブルヘッドランプをLEDで再現したような感じで、欧州らしい遊び心が伝わってきた。

インテリアは最上級グレードということでナッパレザーがおごられ、ウッドパネルにはLEDイルミネーションが仕込まれている。

ボディサイズは、全長5035mm、全幅1965mm、全高1740mmとなっている。
ボディサイズは、全長5035mm、全幅1965mm、全高1740mmとなっている。    平井大介

ディスプレイはEX30のようなセンターに全てを集約したタイプではなく、ドライバーの前に横長のディスプレイを置いて、速度やナビのマップなどを映し出す。車格を考えればこのレイアウトのほうが自然だ。

EX30ではドアの配線を省略するという目的でセンターコンソールに置かれていたパワーウインドウのスイッチも、こちらはオーソドックスにドアに用意される。

センターのディスプレイではエアコンやオーディオ、ナビの他、回生ブレーキやパワーステアリングなどの調節もできる。ただし階層がいくつかあるうえに、個々の表示が大きいぶん、しばしばスクロールの必要があったことが気になった。

ボルボは昔から、北欧生まれということで、手袋をはめたままでも操作できるスイッチが特徴だった。その思想がディスプレイにも受け継がれているのかもしれないが、もう少し直感的なインターフェイスであってもいい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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