ソフトトップは感服の設計水準 フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(1) 640psのV8にレース・モード 最も肩肘張らずに乗れる

公開 : 2026.08.17 18:05

フェラーリ・ローマの進化版、アマルフィにスパイダーが登場しました。640psのV8ツインターボにレース・モード、ABSエボを獲得し、一般道で深い一体感を得られるようです。UK編集部が試乗します。

最も肩肘を張らず乗れる側のフェラーリ

真夜中、同行したカメラマンからマップの位置情報が届いた。結果的には、フェラーリの設定ルートから大きく外れることになったが、壮大な地形がわれわれを待っていた。

ギリシャ南部、オリギルトス山脈を越える国道66号線。石灰質の土地へ豊かな緑が広がる渓谷で、まるで文明から忘れ去られたかのよう。しかし、ハイスピードに耐えるほど平滑なアスファルトが、うねるように伸びていた。

フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(欧州仕様)

路肩には、黄金色のハチミツで満たされたであろう、無数の四角い巣箱。ここはギリシャ神話、ヘラクレスにまつわる舞台の1つで、神秘さを感じたとしても不思議ではない。

こんな道の堪能へ至った理由は、フェラーリ・アマルフィ・スパイダーのメディア向け試乗会に招かれたから。相対的には、同社のラインナップで最も肩肘を張らず乗れる側にある。英国価格は、22万7260ポンド(約4886万円)からだという。

従来以上に鋭いV8ツインターボにレース・モード

プレゼンによると、「可能な限り運転しやすい」らしい。フェラーリへの乗り換えに敷居の高さを感じるドライバーへ、最良の選択肢として位置付けられるという。あまり情熱を感じない表現に聞こえるが、果たして、それは杞憂といえた。

確かに、ミドシップ・ハイブリッドの296 GTSや、1050馬力を誇るフラッグシップの849テスタロッサ・スパイダーと比較し、親しみやすいことは間違いない。しかし、気軽に乗れる跳ね馬だと結論付けるだけなら、過小評価したことになる。

フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(欧州仕様)

アマルフィのホイールベースは短く、油断すればお仕置きを食らいそうなほど、ステアリングは鋭敏。3.9L V型8気筒ツインターボエンジンは、従来以上に鋭く回り、最高出力は640psに達する。3000rpmから生じる最大トルクは、77.4kg-mと極太だ。

ドライブモードには、スタビリティ・コントロールの介入が制限される、レースが追加された。理性を忘れるほど没入して「運転しやすい」と、彼らは表現したかったのかも。

計8層構造のソフトトップは感服の設計水準

アテネが位置する、ギリシア東部のアッティカ地方を出発する。高速道路は真新しく、ガラガラ。質感向上を目指したという、ローマからの改良点を確かめるのに丁度良い。

電動ソフトトップは、5層のファブリックと3層のラバーで構成され、遮音性はリトラクタブル・ハードトップと遜色ないとか。実際、静寂性は唸るほどで、アストン マーティンヴァンテージロードスターに勝り、ベントレー・コンチネンタルGTCに迫る。

フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(欧州仕様)
フェラーリ・アマルフィ・スパイダー(欧州仕様)

このソフトトップは、走行中でも64km/h以下なら13.5秒で開閉可能。サイドウインドウを閉め、リアシート・パネルを展開すれば、風の巻き込みは殆どない。助手席の人と、普通の声量で会話できる。感服の設計水準といえる。

車高はさほど低くなく、ノーズリフト機能の出番は少なそうだが、マグネライド・ダンパーが上下動を担う。スプリングも新しく、特性の幅はローマ以上に広がったという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ・アマルフィ・スパイダーの前後関係

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