結論　★★★★★★★★★★

驚異的なサーキットパフォーマンスを身近に

800psの最高出力と800Nm（81.4kg-m）の最大トルク、800kgのダウンフォース。サリー州ウォキングを拠点とするメーカーが生み出した、トラックデイのためのクルマは、間違いなくサーキットがホームグラウンドだ。マクラーレンの名称のルールからすると、800Rとでも呼びたくなる。あえてセナという名前をつけるに至った理由は何だったのだろう。あるいは、どんなドライビングフィールやインスピレーションなら、その名前にふさわしいのだろう。

マクラーレン・セナを生み出した技術者たちは、複雑ながら高次元で賢く、胸のすくようなドライバーズカーの持つ雰囲気に、触発されたのではないだろうか。もしかすると、マクラーレンがアイルトン・セナから受けた、感傷的な印象を表現したのかもしれない。

しかし、ヘルメットをかぶってサーキットを10周ほど走り込めば、そのようなモヤモヤした考えは吹き飛ぶ。レーシングカーと変わらぬパフォーマンスを備えた、ロードリーガルなクルマを自信たっぷりに走らせることができる。これほど身近に、突出したグリップ力とスピードを味わわせてくれるクルマは他にはない。

興奮で頭の中が吹き飛ぶようなサーキットパフォーマンスに、驚愕のドライバビリティとドライバーが得られる満足感を高次元でブレンドさせた、公道も走れるサーキット・マシンは、唯一無二。マクラーレン・セナは、孤高の存在だ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ポルトガルのエストリル・サーキットで開かれたセナのプレス発表会で、メーカー側のインストラクターが乗っていたクルマはLMP1仕様だったようだ。関係者の話では、通常のセナと同じブレーキングポイントでも、ペーシングプロトタイプの方は、少ないペダルの踏み込み量で減速できているとのことだった。

サイモン・デイビス

セナはエンスージアストを虜にするようなロードカーかもしれないが、そのために、サーキットでの輝きが少しくすんでしまっているように感じる。

オプション追加のアドバイス

マクラーレンは、多岐に及ぶ設定に悩まないように、5種類の推奨メニューを用意している。スマートフォンの画面保護カバーでもお馴染み、ゴリラガラスを用いたサイドウインドウは、クルマをさらに軽量にできる。サーキットの走行データや動画を記録できるマクラーレン・トラック・テレメトリー（MTT）とカメラのセットも魅力的だ。

改善してほしいポイント

・V8エンジンのサウンドを、より感情的なものにしてほしい。
・中回転域のトルクを太くすることで、発進加速はさらに鋭くなるはず。
・GTRバージョンとして、レース用スリックタイヤと、さらにダウンフォースを高めたモデルも、すぐに出すべき。

すべての画像をみる　全25枚