FCAとルノーの経営統合 アナリストはどう見るか

公開 : 2019.06.04 20:10

工場閉鎖の懸念 フィアットの復興は?

「50億ユーロものコスト削減は、広範囲の工場閉鎖なしでは難しいだろう」とアナリストのベイリーは語っている。

また、ジェイトー・ダイナミクスのアナリスト、フェリペ・ムノスは次のように述べている。「工場閉鎖を行わずに、どうやってそれだけのコストを削減できるのか、理解しがたい」

フィアットの工場は、確かに販売ボリュームの大きな新型車の投入を必要としている。販売台数はルノーの約半分にまで落ち込んでおり、フィアットの工場は平均すると生産能力の半分しか稼働していないと言われている。破滅的な効率の悪さで、収支が合うには80%まで戻すことが求められている。イタリアとフランスの政治家は既に長期的な雇用危機の予測を高めている。

実際にフィアットにとって統合は、イタリアにある工場の救済となるだろう。縮小されたモデルレンジを拡張できるからだ。現在、フィアットのラインナップは500、パンダ、ティーポ、500X、500Lの5車種のみで、そのうちイタリアで製造されているモデルは2車種しかない。

説得力のある可能性としては、ティーポがルノー・メガーヌと共同開発車になり、プントはクリオの兄弟車に、さらにカジャーをベースにしたコンパクトSUVなどが考えられる。「しかし、難しいのはフィアット・ブランドをどうするかです。復興させることは非常に難しく、修正するには長い時間がかかるでしょう」とムノスは言う。

これは現在瀕死の状態にあるランチア・ブランドにとっても生命線となる。とはいえ、新しいモデル群への投資はランチアよりもアルファ・ロメオマセラティに向けられる可能性が高いだろう。

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