閉店を決意した『町の模型屋さん』にて【長尾循の古今東西モデルカーよもやま話:第18回】

公開 : 2026.04.22 12:05

元モデル・カーズおよびカー・マガジン編集長である長尾循による、古今東西モデルカーに関する月イチのコラムです。第18回は『町の模型屋さん』がテーマ。閉店を決意した新潟の『クリヤマモケイ』さんを訪れた時の話です。

半世紀前はひと駅に1〜2軒ありました

昨今はミニカーやプラモデルを買うとなると、大手量販店に行くかネットの通信販売か……みたいな状況が当たり前になっていますが、もちろんかつてはそうじゃありませんでした。

今から半世紀も前の話ですが、自分が小学生の頃、自宅の近所にはミニカーやプラモデルを扱っているお店がたくさんありました。自宅は23区の西端で、最寄り駅には駄菓子屋さんと玩具店と模型店が1軒ずつ、そのお隣の駅には玩具店と、輸入ミニカーなども扱っていた文具店。

今回は『町の模型屋さん』がテーマ。新潟の『クリヤマモケイ』さんを訪れた時の話です。
今回は『町の模型屋さん』がテーマ。新潟の『クリヤマモケイ』さんを訪れた時の話です。    長尾循

その先の駅からさらに線路沿いにどんどん東に向かい、スタート地点の駅から8番目の駅となる隣の区の駅にかけて、だいたいひと駅に1〜2軒は玩具店か模型店がありました。

もちろん休みの日には、自転車で半日をかけてそれらのお店をハシゴです。小学校高学年になってくるとさらに行動半径は広くなり、別の私鉄沿線の模型屋さんも回るようになっていきました。

今でも模型屋さん巡りをする夢を見ます

そんな少年時代をすごしていたものですから、今でも時折模型屋さん巡りをする夢を見ることがあります。その内容は『どこかの街で模型屋さんを見つけて入ってみると店内には懐かしいプラモデルやミニカーで溢れていて、喜び勇んでそれらを買おうとすると目が覚める』というもの。まぁ、いかにも儚い夢なわけです。ところが……。

新潟県は三条市に、戦後間もない1951年に創業した『クリヤマモケイ』という老舗模型店があります。地元三条市はもとより新潟界隈ではかなり名の知られたお店で、かつて自分が携わっていた模型誌に広告を出していただくなどのお付き合いもあったのですが、実はお店にお邪魔したことは一度もありません。

クリヤマモケイさんは新潟県三条市にある、戦後間もない1951年に創業した老舗模型店です。
クリヤマモケイさんは新潟県三条市にある、戦後間もない1951年に創業した老舗模型店です。    長尾循

ただ、新潟エリアはヒストリックカーのイベントが盛んな土地柄。そちらの取材でこの界隈にお邪魔することも少なくないので、いずれ機会を見つけて……と思っていました。

そんな中、確か昨年の秋頃でしたか。ヒストリックカーを通じて知己を得た三条市の知人から「あのクリヤマモケイさんが閉店しちゃうんですよ!」という知らせを聞いたのです。久々に耳にしたお店の名前に懐かしさを覚えると同時に、その閉店という知らせにたいへん驚きました。

新潟県三条市のクリヤマモケイさんへ

以来、そのことがずっと気になっていたところ、さる4月12日、まさに新潟県三条市で『20世紀ミーティング2026春季クラシックカー&バイクの集いinミズベリング三条』というイベントの取材に出かけることとなり、そのタイミングでついにクリヤマモケイさんを訪ねることが叶ったのです。

今回の取材はスケジュールの関係で鉄道を利用しましたので、クリヤマモケイさんへの訪問も電車で。上越新幹線の燕三条駅から在来線のJR弥彦線に乗り換え、ひとつめの北三条駅で下車。駅から徒歩10分ほどで、写真でしか見たことのなかったあのお店に到着しました。

ショーケースの中には1970~1990年代の絶版モデルが並びます。
ショーケースの中には1970~1990年代の絶版モデルが並びます。    長尾循

現在の私はすでに模型雑誌編集部のスタッフではないので、全くのアポなし、ひとりの模型好きとしてふらりと訪れるつもりでしたが、やっぱり改めて氏素性を名乗って改めてご挨拶することに。

「あぁ、モデル・カーズさんには広告を出していたこともありましたねぇ」と、古巣の雑誌のことをしっかり覚えていた2代目店主のクリヤマさん。「私も今年で70歳。後継者もいないので、まだ元気なうちにお店の整理しようと思いまして」と、惜しまれつつも閉店を決意されたそうです。

すでに全品30%オフの閉店セールが始まって久しいのですが、「新規の仕入れや注文を受けるのは止めたのですが、倉庫の方には在庫がたくさんあるので、あと2〜3年はお店は開いているんじゃないかな」と、ファンにとっては嬉しいお言葉。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    長尾循

    Jun Nagao

    1962年生まれ。企画室ネコ時代を知る最後の世代としてモデル・カーズとカー・マガジンの編集に携わったのち定年退職。子供の頃からの夢「クルマと模型で遊んで暮らす人生」を目指し(既に実践中か?)今なおフリーランスとして仕事に追われる日々。1985年に買ったスーパーセブンにいまだに乗り続けている進歩のない人。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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