ポルシェ・パナメーラS

公開 : 2013.06.21 17:00  更新 : 2017.05.29 19:07

■どんなクルマ?

4.8ℓ V8のパナメーラGTSに代わるモデルとして、2013年モデルから加えられたのがこのパナメーラSだ。さすがに旧いエンジンをGTSに搭載しているのは効率が悪いと考えたようで、このパナメーラSには、ダウンサイジングした3.0ℓのV6ツインターボを採用した。

この3.0ℓV6エンジンは、ナチュナル・アスピレーションの3.6ℓV6をリファインしたものだ。2基のターボチャージャーは最大1.2barの過給圧を持ち、新しい燃料噴射システムと、ポルシェのV型エンジンとしては初採用のインテークとエグゾーストとそれぞれに付けられたバリアブル・タイミングなどが用いられた結果、414bhpのパワーを発揮する。この値は、旧V6よりも109bhp大きく、更に旧いV8よりも20bhpも大きい。トルクも53.0kg-mと、GTSと同じ値となり、しかもそのトルクは1750rpmから発揮されることとなる。このトルク値は、アウディから提供されるV6ディーゼルよりも僅かに3.0kg-mだけ小さい数値である。

さすがにその経済性はディーゼルには敵わないが、それでも11.5km/ℓという値を7速PDKとの組み合わせでマークしている。ちなみに、残念なことに6速マニュアルは今回、カタログから落ちてしまっている。

■どんな感じ?

速く、フレキシビリティに富み、洗練されているモデルだ。旧いV8のワイルドな味わいからすると、良く研ぎ澄まされたスムーズなエンジンになった感じがする。今までは伸長なアクセルワークが求められていた低速時も、スムーズに走ることができる。

PDKもリファインされ、よりスムーズで速いシフトチェンジとなった。

モーターウェイでは更に印象的だ。ポルシェは8気筒と6気筒のスムーズさの差をなくすために、クランクの上にバランサーシャフトを採り入れているが、その結果、このV6は8気筒なみのスムーズさを持つようになった。これまた再チューニングが施されたサスペンションは
柔軟な乗り心地で、パナメーラSを本物のクロス・コンティネンタルGTに仕立て上げている。

アウトバーンから離れた一般道でもその印象は大きく変化することはない。より挟角の広い90度のV6は、重心が低く、マウント位置もV8よりも後ろになるため重量配分も良い。そして軽い。RWDではあるが、その非常にバランスのとれた動きは、まさに水を得た魚のようだ。

そのシャープな動きも、5m,1810kgの4シーター・ボディとしては機敏で、皮肉にもV8モデルよりも安定性すら感じる。確かにV8のような高回転でのパンチはないが、その分、静かなキャビンがそこには存在する。

■「買い」か?

あなたがアウトバーン・ドライブを心地よくしたいと考えるのであれば、パナメーラSは、同じポルシェのリムジンよりも快適なクルマであるかもしれない。また、アウトバーンを下りてからも山道も快適にこなしてくれるモデルだ。

もちろん、速さだけで言えばBMW M5のほうが0-100km/hで1秒速く、価格も£10,000(150万円)安い。もうすぐデビューするアウディRS7は更に速いだろう。もし、£10,000(150万円)余分に出すことが出来れば、やる気満々のGTSを購入することすらできる。もちろん、パナメーラGTSは、このパナメーラSが出た後でも、充分に自慢することのできるモデルだ。

(ニック・カケット)

ポルシェ・パナメーラS

価格 £82,079(1,240万円)
最高速度 286km/h
0-100km/h加速 5.1秒
燃費 11.5km/ℓ
CO2排出量 204g/km
乾燥重量 1810kg
エンジン V型6気筒2997ccツインターボ
最高出力 414bhp/6000rpm
最大トルク 53.0kg-m/1750-5000rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

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