「976」へ大進化 ポルシェ・パナメーラ・ターボ(1) 2種のプラグインHV ハードの違いは?

公開 : 2025.05.23 19:05

976型へ進化した3代目パナメーラ 落ち着いて洗練されたスタイリング ターボSはアクティブ・エアサス標準 歴代初となる時速200マイル超えを達成 UK編集部が2種のプラグインHVへ試乗

落ち着いて洗練されたスタイリング

ポルシェの頂点の1つ、最新の「976型」パナメーラが英国にもやってきた。V6かV8か、エンジンを問わず、極めて魅力的な上級・高性能サルーンであることは間違いない。そのぶん、価格もお高いが。

500psのパナメーラ GTSは、英国ではオプション抜きで約13万2000ポンド(約2534万円)。今回の双璧、ターボ E-ハイブリッドは15万2000ポンド(約2918万円)で、ターボS E-ハイブリッドは17万5000ポンド(約3360万円)へ上昇する。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)

試乗車の後者は、カーボンファイバー製のエアロキットなしで、20万ポンド(約3840万円)へ迫っていた。電気だけで最長83km走れる社会性を備えるが、最高速度は325km/hに届き、0-100km/h加速を2.9秒でこなす。

こんな数字を丸く包む、控えめなスタイリングは魅力の1つ。落ち着いていて、洗練されている。ご希望なら、先述のカーボン・エアロで飾ることもできる。それでも、BMWのMやアウディのRSとは一線を画す、エレガントなエキゾチックさが好ましい。

低い着座位置とルーフラインが生む包まれ感

インテリアは、ボディのイメージを巧みに反映。優雅で上質な雰囲気に仕上がっている。着座位置の低さと、弧を描くルーフラインが生む特別な包まれ感は、他の高性能4ドアサルーンと一線を画す。

主要な操作系のレイアウトは、違和感なし。ダッシュボードには、ワイドなタッチモニターが自然に融合している。ショートカットキーの配置も理解しやすく、エアコンには実際に押せるハードスイッチが残されている。そのタッチも素晴らしい。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)

シフトセレクターは、ステアリングコラム側。ステアリングホイール裏にはシフトパドルがあり、センターボス右側の小さなダイヤルでは、ドライブモードを選べる。運転支援システムの切り替えにも、ハードスイッチが用意されている。

後席側は、同等クラスの上級サルーン以上に広いわけではないものの、平均的な大人なら快適に長時間過ごせる余裕がある。荷室は奥行きがあり大容量。プラグインHVでも、想像以上に荷物を積める。

歴代初となる時速200マイル超えを達成

E-ハイブリッドのターボとターボSのパワートレインでの違いは、基本的に最高出力。どちらも190psの駆動用モーターが、4.0L V8ツインターボ・エンジンと8速デュアルクラッチATの間に挟まれている。荷室の床下へ載る駆動用バッテリーは、26kWhだ。

プラグイン・ハイブリッドのシステム総合での最高出力は、ターボで680ps、ターボSは783ps。最大トルクは、94.6kg-mと101.8kg-mという差がある。後者は歴代のパナメーラで初となる、時速200マイル(321km/h)超えを達成した。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)

プラットフォームは、ポルシェが開発したMSB。高張力鋼板とアルミ材を適材適所に用いている。サスペンションは、ターボでは2チャンバー式のエアサスとPASMアダプティブダンパーが標準となる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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