驚きと感動に溢れる「976」 ポルシェ・パナメーラ・ターボ(2) 2.4tのボディが軽く感じる

公開 : 2025.05.23 19:06

976型へ進化した3代目パナメーラ 落ち着いて洗練されたスタイリング ターボSはアクティブ・エアサス標準 歴代初となる時速200マイル超えを達成 UK編集部が2種のプラグインHVへ試乗

驚きと感動に溢れるパワートレインとエアサス

「976型」ポルシェパナメーラ・ターボの、プラグイン・ハイブリッド・パワートレインとエアサスペンションは、驚きと感動に溢れている。強力なターボS E-ハイブリッドは無双状態の速さを披露する一方、ドライバーが望まなければ主張は控えめだ。

E-パワー・モード時は、駆動用モーターが190psを発揮し、4.0L V8ツインターボ・エンジンなしでも社会的な速度内で不満なく先を急げる。試乗車では、80kmを電気だけで走れると予想されていた。加速も滑らかだ。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)

アクセルペダルを踏み込むと、エンジンが始動。シームレスに、ドライバーが求めたエネルギーを加えてくれる。ポーツ+モード時でも、駆動用バッテリーの充電量は巧みに制御。充電が切れて、バッテリーが重荷になることを防いでくれる。

速さは、ターボでもまったく不満なく、本気を引き出せば体験は劇場的。低域の豊かなトルクだけでなく、高域で炸裂するパワー感も高い充足感を導く。ノーマルではやや人工的だが、スポーツエグゾーストを組めば、V8エンジン本来の音響も楽しめる。

一般道の速めのペースで最高の能力を発揮

試乗した E-ハイブリッドのターボとターボSには、どちらもポルシェ・アクティブライド(PAR)と呼ばれるアクティブ・エアサスが装備されていた。このシステムは、一般道の少し速めのペースで、最高の能力を発揮する。運転へ没入できる。

グレートブリテン島の公道でも、実力をいかんなく発揮。ピッチやロールを予見的に制御し、流暢な喜びをもたらしてくれる。少し鋭い入力が加わると、ベントレーメルセデス・ベンツマセラティではないことを実感するが、快適性は高い。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)

もしアクティブ制御がお好みでなければ、オフにすることも可能。そうすれば、従来的な姿勢制御の中へ身を置ける。とはいえ基本的には引き締まり、旋回中の安定感は秀抜。不整を巧みに均しつつ、感触豊かなステアリングと敏捷な回頭性で報いてくれる。

サーキットでは、特に最も制御が積極的なE-パワー・モード時は、PARのフラットさに慣れが必要かもしれない。タイトコーナーでもハードブレーキングでも、ボディは傾くことがないからだ。

2.4tあるボディが軽く感じられる

しかし、スポーツやスポーツ+モード時は、制御が変化し自然さが増す。反応は直感的で、グリップやトラクションのバランスにも長け、限界領域まで漸進的な操縦性を実現している。2.4tあるボディが軽く感じられる、と表現しても嘘ではない。

反面、ブレーキング時には重さをチラつかせるが、ヘアピンカーブでの滑らかな旋回は感動レベル。市街地では、アスファルトのツギハギも気にさせない。速度抑止用のスピードバンプの存在を、忘れるほどではないとしても。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド(英国仕様)

装備面は、ターボSではカーボンセラミック・ブレーキに21インチ・センターロックホイール、後輪操舵システム、PARなどが標準。英国価格はターボより2万ポンド(約384万円)以上お高いが、それに見合う内容といえる。

ターボへPARを含む多くのオプションを詰め込むなら、結局はターボSを選んだ方が賢明かもしれない。馬力も103ps上乗せされる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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