【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#36 クラッチ残量は砂上の楼閣!

公開 : 2026.07.10 12:05

自動車はロマンだ! モータージャーナリストであり大乗フェラーリ教開祖の顔を持つ清水草一が『最後の自動車ロマン』をテーマに執筆する、隔週金曜日掲載の連載です。第36回は『クラッチ残量は砂上の楼閣!』を語ります。

楽しげなアラートの数々!

大貴族号こと我がマセラティクアトロポルテ(5代目のデュオセレクト)は、車検のため練馬のマイクロ・デポ本社に預けられた。

同社の岡本(弟)さんに仕上がり時期を聞くと、「たぶん2週間くらい」とのことだったので、じゃ次の連載〆切には間に合うな、と嵩をくくって引き上げた。

様々に楽しげなアラートの数々は、診断機でのリセット作業が必要!
様々に楽しげなアラートの数々は、診断機でのリセット作業が必要!    岡本和久

しかし、そろそろ2週間という頃になっても連絡がない。岡本和久代表に「まだですか~?」とメッセージを入れたところ、すぐ返信があった。

岡本「ハザードランプが点かないのと、様々に楽しげな(笑)アラートの数々は、診断機でのリセット作業が必要なので、メカトリエ(注:茨城県つくば市にあるマイクロ・デポの広大な拠点)に運ばせて頂きました。土曜日に作業予定ですが、天候次第デス。お待たせして申し訳ございません」

当連載は金曜日に公開なので、土曜日に作業予定ってことは、間に合わないことが確定した(それで1回休載)。しかも天候次第というのだから、マイクロ・デポの整備は、農作業に近いようだ。

大山鳴動してハザードランプ点く!

問題の土曜日は雨だったが、作業できたらしく、当日、「大山鳴動してハザードランプ点きました。アラートやオーディオのリセットもできましたヨ」と連絡が入った。よかった。いよいよ仕上がりが近そうだ。

オレ「じゃ、せっかくなので、デュオセレクトのクラッチ残量、わかったら教えてください」

茨城県つくば市にあるマイクロ・デポのメカトリエにて大貴族号!(手前)
茨城県つくば市にあるマイクロ・デポのメカトリエにて大貴族号!(手前)    岡本和久

それについても間髪入れず返信があった。

岡本「そっちは『10%』とか出てくるんです。交換時のリセットがキチンと出来てなかったのかなぁ……」

えっ、納車時に85%だったのが、わずか5000キロで10%になっちゃったの!?

私は納車時の画像データを見直した。よく見ると、同じ項目が『15%』となっている。つまり、もともとクラッチ残量は85%じゃなく15%で、それが5000キロ走行で10%に減っただけじゃないのか!?

矢も楯もたらまず、直接電話を入れてみた。

岡本「デュオセレクトのクラッチ残量表示は、消耗率のほうが出ることが多いんですけど、生産時期によっては残量の場合もあって、どっちかわかんなかったりするんですよ」

げえっ! 肝心要がわかんないなんて、さすが(20年前の)マセラティ!

岡本「でも、仮に残量10%だったとしたら、ミッションの警告灯がもう点いてるはずなんですよね。ディーラーでは、残り30%を切ったら交換するくらいですし。だから、前回のクラッチ交換の時に、数値がリセットされてなかったんじゃないかなー、って思うんですよー」

記事に関わった人々

  • 執筆

    清水草一

    Souichi Shimizu

    1962年生まれ。慶応義塾大学卒業後、集英社で編集者して活躍した後、フリーランスのモータージャーナリストに。フェラーリの魅力を広めるべく『大乗フェラーリ教開祖』としても活動し、中古フェラーリを10台以上乗り継いでいる。多くの輸入中古車も乗り継ぎ、現在はプジョー508を所有する。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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