【奥が深いタミヤの世界】驚異のこだわり 情熱は衰えず 前編

公開 : 2019.12.21 11:50

実車さながらのプラモデルやこだわりのメカニズムを備えたR/Cモデルを創り出すタミヤは、子供だけでなくクルマ好きであれば誰もが気になる存在ではないでしょうか? あの天才F1デザイナーが最初にクルマについて学んだのもタミヤのプラモデルだったと言います。

G500とスープラ

タミヤは決してシンプルとは言えない構造を持ちながら、簡単に組み立て可能なラジオコントロールモデルを初めて生み出すことに成功したメーカーだ。

数えきれないほどの子供たちが、タミヤのお陰でクルマや機械への愛情に目覚め、いまや世界中にコアなファンが存在している。

1980年代、タミヤが日本とアジア市場だけで販売していたミニ四駆のセールスは惨憺たる状況だった。だが、1997年には日本で販売された単三電池の15%がミニ四駆向けに使われるまでになり、合計では1億5000万台が出荷されている。
1980年代、タミヤが日本とアジア市場だけで販売していたミニ四駆のセールスは惨憺たる状況だった。だが、1997年には日本で販売された単三電池の15%がミニ四駆向けに使われるまでになり、合計では1億5000万台が出荷されている。

1960年代以降、タミヤはプラスチック製モデルやラジオコントロール(R/C)カーの高い品質でその名を知られるようになったが、何よりひとびとを驚かせたのがデザインやディテールに対するそのこだわりだった。

誰もが夢中になったR/Cカーやバギーでは、複雑なシャシーとドライブトレインに加え、実車さながらのウィッシュボーン式サスペンションやダンパー、ディフェレンシャル、変更可能なギアレシオまで再現していた。

R/Cカーを操るには本物のドライビングスキルが求められ、まるで反射神経を試すかのように、R/Cバギーをタイトコーナーへと突っ込ませる経験などなかなか出来ないだろう。

そして、タミヤから登場した最新のR/Cカーの2台が、メルセデス・ベンツG500とトヨタ・スープラだ。

G500は新CC-02(CCはクロスカントリーを意味している)シャシーをベースに、シンプルなタブ形状ではなく、ラダーフレーム構造を採用しており、複雑な機構を持つサスペンションとドライブトレインは実車さながらの動きを見せる。

その結果、20種類のレシオが選択可能なシングルスピードのギアボックスとともに、悪路のレースでは最高のパフォーマンスを発揮することが出来るだろう。

信頼と尊敬の証し

一方のスープラだが、タミヤのロードゴーイングモデル向けTT02シャシーをベースにしており、実車と同じタイミングで販売が開始されている。

これこそがタミヤに対する信頼と尊敬の証しであり、トヨタではスープラが公開されるはるか以前に、タミヤに対して極秘デザインとCADデータへのアクセスを許可していたのだ。

正確を期すべく、タミヤは自動車メーカーから情報を得ている。
正確を期すべく、タミヤは自動車メーカーから情報を得ている。

創業当時、タミヤがこの2台を創り出すことになるとはまったく想像出来なかった。

かつては木材を扱っていたタミヤが決して精巧とは言えない木製モデルの製造を始めたのは、第2次世界大戦後のことだ。

当時登場し始めたばかりのモデラーたちは、研いだばかりのペンナイフで少しずつこうしたモデルの形を整えていったが、最終的に完成させるには大変な根気のいる作業だった。そして、そんな若者のひとりがタミヤ創業者である田宮義雄の息子、俊作だ。

1960年代に入り、当時新たに登場し始めていたプラスチック製モデルに関心を持ったタミヤは、そのための金型を開発している。

なお、田宮俊作の製品作りに対する情熱はいまも衰えておらず、タミヤを率いる立場でありながら、彼はいまも現場主義を実践しており、個人的に新しいモデルのための計測や研究などを行っているという。

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