【年に一度の車山詣で】今年も『アロンフランセ』に700台近いフランス車が集結!テーマはシトロエンID/DS70周年

公開 : 2025.12.06 12:05

秋のフランス車のイベントといえば『フレンチブルーミーティング』を思い浮かべる方も多いと思いますが、現在は『アロンフランセ車山』として、有志の手により開催されています。内田俊一による2025年版レポートです。

毎年、車山で開催される恒例イベント

秋のフランス車のイベントといえば、毎年、車山高原で開催されていた『フレンチブルーミーティング』を思い浮かべる方も多いだろう。様々な事情により現在は休催してしまったが、有志の手により『アロンフランセ車山』として開催されている。今年もこれまでと同じく車山で、10月19日に開催された。

以前のフレンチブルーミーティングより台数は減ったものの、それでも700台近いフランス車が車山に集結。これは以前よりも場所の制限などができたため事前予約制となり、この台数で締め切られたから。それでも枠はあっという間に埋まったというから、フランス車乗りにとってその人気は絶大といえそうだ。

『アロンフランセ車山2025』が車山高原で10月19日に開催された。
『アロンフランセ車山2025』が車山高原で10月19日に開催された。    内田千鶴子

3回目を迎えた今年は天気予報が雨や曇りであったことから心配されたものの、幸いにも雨はほとんど降らず、穏やかな気候の中で過ごすことができた。

毎年何かしらのテーマを設けられ、今年は『シトロエンID/DS70周年』とされた。1955年のパリ・サロンでデビューしたDSは、フラミニオ・ベルトーニの手による宇宙船のようなスタイルだけでなく、ハイドロニューマチックという独創的なシステムを組み込むことでまるで未来のクルマのような印象を来場者に与え、ショーの注目の的となった。

フランス人からは好意を持って受け入れられたようで、1日で1万2000台も受注され、生産が終了した1975年までに140万台以上が製造された。

DSならではの『芸当』

このイベントにも30台近いDSがエントリーし、本部テント前に集まったその光景は壮観のひとことだ。主催者はこのDSの特徴を生かしてちょっとした寸劇を行った。ドライブ途中の『星の王子様』ご一行が乗るDSプレステージュのリアタイヤがパンクしてしまったという設定で、そのタイヤ交換が実演されたのだ。

その作業は独特だ。まずボルト1本で固定されているリアフェンダーを外すことでリアタイヤをむき出しにする。そこからハイドロニューマチックを使って車高を最も高くし、DS専用のリジッドジャッキをシャシーに噛ませ、そこから再び車高を落とせばタイヤは浮いた状態となる。そうすることでタイヤ交換を容易にできるのだ。

DSのリアタイヤがパンクしてしまったという設定で、そのタイヤ交換を実演。
DSのリアタイヤがパンクしてしまったという設定で、そのタイヤ交換を実演。    内田俊一

まさにハイドロニューマチックならではの芸当といっていい。

主催者のひとりは、過去DSオーナーだったこともあり、「こういったシーンはなかなか見られないので、興味を持ってもらえたでしょう。最近DSのオーナーになった方も増えて来ています。我々は新車でDSを購入した先輩方からこういったことを教わって来ましたので、それを継承していこうという思いです」と語っていた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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