こんなの見たことない… 不思議な姿で保管されるクラシックカー 20選(前編) ジャンクヤード探訪記

公開 : 2025.12.07 11:25

米国の巨大ジャンクヤードを巡り、スクラップ同然のクルマにレンズを向ける探訪記シリーズ。今回は、砂漠地帯にもかかわらず車体を地面から浮かせて保管している、アリゾナ州の珍しいヤードのレポートをお届けします。

コンディションのいい砂漠地帯の廃車

米国アリゾナ州サッチャーのジャンクヤード『バレー・オート・レッキング(Valley Auto Wrecking)』を訪れたのは数年前のことだ。

以前にも何度か電話で問い合わせたことがあり、その度に質と量の両方に感銘を受けていた。このヤードは1967年に創業し、コンディションの素晴らしいクルマを数多く取り扱ってきた。しかし、前回の訪問直前に、オーナーが大量のクラシックカーを処分したため、空きスペースが目立つようになった。幸いなことに、ここで紹介する写真からもわかるように、良質な車両の一部は破砕機によるスクラップを免れた。

アリゾナ州の巨大ジャンクヤードで見つけた興味深い廃車を20台紹介する。
アリゾナ州の巨大ジャンクヤードで見つけた興味深い廃車を20台紹介する。

ヤードは今も営業しているが、古い車両がどれだけ残っているかは保証できない。ネット上でもほとんど情報を確認できないのだ。とはいえ、筆者は錆の少ない車両をたくさん撮影させていただき、大いに楽しんだ。皆さんにも写真を通して楽しんでほしい。

ナッシュ(1936年)

この古びたナッシュは、アリゾナ州のバレー・オート・レッキングを前回訪れた際に見つけた中で最も古い車両だった。1936年式と思われるが、この年は「ベッド・イン・ア・カー」機能が投入された年だ。後部座席を折りたたむことで、2人がトランクに足を伸ばして寝られる、実質的なダブルベッドを形成できた。残念ながら、この個体の内装は残っていない。

ナッシュ(1936年)
ナッシュ(1936年)

パッカード・クリッパー(1955年)

幸運にも生き残っていた1955年式パッカード・クリッパーだ。筆者の訪問の数か月前に売却されたと聞いたが、新オーナーは急いで修復するつもりはないようだ。

1955年のパッカードは比較的好調で、5万5247台が売れた。しかし、クリッパーはわずか8309台しか生産されず、まさに希少車と言える。

パッカード・クリッパー(1955年)
パッカード・クリッパー(1955年)

シボレー・デラックス(1951年)

ジャンクヤードが車両を破砕処分する理由はいくつかある。高騰するスクラップ金属の売却益を狙う場合もあれば、単純にスペース不足の場合もある。また、対象車両があまりに不人気で、今後誰からも部品を求められそうにない場合や、すでに有用な部品をすべて取り出されている場合も処分の理由となる。残念ながら、この1951年式シボレー・デラックスは後者に該当し、スクラップになるまでの猶予は残り少ないと思われる。

シボレー・デラックス(1951年)
シボレー・デラックス(1951年)

AMCコンコード

こちらの2台も、まもなく破砕機にかけられる運命にある。ステーションワゴンのフォード・トーラスは米国の道路から急速に姿を消しつつあるが、その上にある黄色いAMCコンコードはもっと希少だ。

コンコードは、ホーネットの後継車として1978年から1983年にかけて生産され、当初は好調な売れ行きを見せた。しかし、この個体が生産ラインを離れた1980年代初頭には、年間販売台数は5万台前後で低迷していた。現存率は高くなく、今日路上を走る個体は比較的少ない。

AMCコンコード
AMCコンコード

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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