【速度世界記録更新に向けて】ブラッドハウンドLSRの挑戦 目指すは4桁マイル? 中編

公開 : 2020.03.21 20:50

どうやって運転する?

ブラッドハウンドのコクピットに座ってみれば、主な操作系に違和感はないだろう。ステアリングホイールと「右足がアクセル、左足がブレーキ」のレイアウトだとグリーンが教えてくれた。

計器類はほとんどがデジタル表示だ。

昨年のテストではジェットエンジンだけで走行している。
昨年のテストではジェットエンジンだけで走行している。

「スラストSSCはまさにアナログ時代のマシンでした」と、グリーンは言う。「それぞれがひとつの数値を示す円形のダイアルが並んでいました」

対照的に、「ブラッドハウンドには、プログラミング可能な3台の高精細LCDディスプレーが備えられており、コクピットは色彩豊かな空間です。さらに、さまざまな場所から操作することも可能です」と、彼は言う。

つまり、南アフリカにいないチームメンバーが、ギアボックスの温度を表示させることも出来るということだ。

一旦コクピットに収まると、「前方10度から15度の視野角でコースを見渡すことが出来ます」と、グリーンは言う。「比較的狭い視界ですが、マシンはほとんど真っ直ぐにしか進むことはありません」

つまり、コースに向けブラッドハウンドをセットしたら、そのままスタートを切るような状況が理想的であり、逆風に向けてスタートして、まるでロケットのようにマシンがフロントから持ち上げられるようなリスクは避けなければならないということだ。

だが、グリーンはスタートラインまでマシンを移動させる必要がある。

途轍もないパワー

待機場所からスタートポジションへ移動するにはおよそ250mの旋回が必要であり、「非常に大きな旋回だと思うかも知れませんが、16kmのコースでは1kmの1/4などまったく取るに足らないものです」と、彼は言う。

通常のファミリーカーのステアリングレシオが15:1程度のところ、ブラッドハウンドのそれは40:1となっている。

ブラッドハウンドLSRの挑戦
ブラッドハウンドLSRの挑戦

「ステアリングホイールの回転角度は200°ですが、1時間で数百kmも進んでしまうような車両には十分以上のものです」とグリーンは言う。

フロントタイヤの切れ角は左右それぞれ5°であり、「自らのパワーで走行中のブラッドハウンドにとっては十分な旋回性能です。このお陰で大型車両にマシンを繋ぐ時間がセーブできます。さらに、けん引車両が巻き上げる土埃で、フロントスクリーンが埃まみれになるのも防ぐことができるのです」

アクセルは「クルマと同じように無段階に開度を調整することが出来ますが、アクセル開度に対して徐々に発揮されるパワーは7465.8kg-mにも達しているのです」と、グリーンは説明してくれた。

「わずかなスロットル開度でもこのマシンが発揮するパワーは途轍もないものであり、その出方もリニアではありません。ユーロファイター・タイフーンのふたつあるエンジンマッピングのうち一方を使っています」

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