■どんなクルマ？

第一世代のアウディS7は、メカニカル的に同一の第4世代のS6と、より実用的なS6アバントと並ぶ、アウディのハイエンドのパフォーマンス・トリオの中の1台だ。そのパワーユニットは、それまでの5.2リッター・ノーマル・アスピレーション・ガソリン・エンジンから変更された、昨年後半にS8で初めて公開された4.0リッターV8ツインターボ・ダイレクト・インジェクションのガソリン・エンジンを積む。

■どんな感じ？

本革製のマルチファンクション3スポーク・ステアリングを握った瞬間から、そのスタイル同様、上質なクオリティがこのS7に秘められていることに気付くはずだ。すべてにおいてエルゴノミック・セットアップは完璧で、そこには何の注意もいらない。この新しいパフォーマンス・サルーンには、61,955ポンド(812万円)という価格以上の上質なものを感じるはずである。

車両重量は、アルミニウム製のボディ・パネルを採用し、徹底した軽量化を図ったとはいえ1945kgのヘビー級だ。しかし、エンジンは、たとえそれが低回転であっても全体的なレスポンスは良い。ツイン・スクロール・ターボのラグもなく、加速は力強い。アイドリングの僅か800rpm上の1500rpmでトルクは56.1kg-mを発生するが、それが高いフレキシビリティをもたらしてくれるのだ。

同時に印象的なのはギアボックスだ。標準的な7速Sトロニック・デュアル・クラッチが装備される。スタート・ストップ・システムを始めとする燃料をセーブするためのアップデートされた電子制御システムが装備されるが、サクサクとして迅速な変速が、マニュアル・モードであろうとオートマチック・モードであろう味わえる。残念なのは、マニュアルモードが選ばれる時でも、6200rpｍのレッド・ラインでシフトアップしてしまうことぐらいだ。

クワトロ・システムは最新のトルセン・トルク・センシング4輪駆動ドライブ・システムで、常時4輪を駆動する。オプションのスポーツ・ディファレンシャルを装着すると、左右のリア・ホイールでトルクを調整する機能もついてくる。

強力なトラクションを得た結果、アウディS7の0-100km/h加速は、BMW 650iグランクッペよりも0.2秒遅く、メルセデス・ベンツCL500よりも0.5秒速い4.7秒という数値をマークする。414bhpというパワーは、どんな重圧も関係なしに、ハイ・スピードまでS7を導いてくれる。

アクティブ・ノイズ・コントロール・システムは、機械の発する騒音を消し去るパーフェクトなシステムで、S7を高速走行における完璧なツアラーに仕立て上げている。

S7に装備されるシリンダー・ストップシステムは、960rpmから1350rpmの間で4気筒分の吸排気弁を閉じ、燃料の消費を半分に抑えてくれるシステムだ。これによって、前モデルのアウディS6よりも2.9km/lも良い10.4km/lという燃費と225g/kgというCO2排出量をマークする。

ダイナミックな性能もアウディS7のセールス・ポイントである。標準で標準的なA7よりも10mm低いエア・サスペンションが取り付けれる。ダイナミック・モードではダイレクトなスロットル・レスポンスとステアリング・マッピングが、そしてコンフォタブル・モードではゆるやかなダンピングと乗り心地の良さが引き出されるアウディ・ドライブ・セレクト・システムが装着されている。しかし、コンフォタブル・モードでさえ、乗り心地は固い気がした。それは、ドイツのスムーズな路面の上では問題になるほどではないが、路面の荒れた英国での評価となると厳しいかもしれない。

コーナリングの限界は、わらわれのテスト車両が履いていた20インチ・ホイールのモデルに限っては、かなり高いものであった。しかし、エレクトロ・メカニカル・ステアリングについては、センターを離れるとダイレクトさに欠け、路面のフォードバックが少ないという問題を感じたのであった。

■「買い」か？

アウディS7は、本当に素晴らしいオール・シーズン・カーだ。そして、とりあえずのライバルが見当たらないということも、オーナーにとっては嬉しいことだ。しかも、S7よりも安いS6に対しては、スタイルの上で大きなアドバンテージがあるのだ。

(グレッグ・ケーブル)

アウディS7

価格	61,995ポンド(812万円)
最高速度	250km/h(リミッター)
0-100km/h加速	4.7秒
燃費	10.4km/l
Co2排出量	225g/km
乾燥重量	1945kg
エンジン	V8ツインターボ3993cc
最高出力	414bhp/5500rpm
最大トルク	56.1kg-m/1500rpm
ギアボックス	7速デュアル・クラッチ