デザイナーが語るBMWとアルピナの未来の姿 「近々包括的な発表」
公開 : 2025.10.08 18:05
「刺激するのではなく、価値を与えたい」。BMWに移籍したデザイナー、マクシミリアン・ミッソーニ氏に、10年以上先の未来のBMWとアルピナをどのように形作っていくのか、そして自身の役割について尋ねました。
刺激よりも、価値を加えたい
昨年末にBMWに加わったデザイナー、マクシミリアン・ミッソーニ氏はこの7か月間で、同社独自のアプローチと「美しい過去」を学んできた。2035年以降の未来を左右する中級・上級モデル群を創出するためだ。
スウェーデンのポールスター(その前はフォルクスワーゲン)から移籍したミッソーニ氏は、今やBMWの豊かなレガシーを最大限活用し、10年先のバイエルンの高級車を形にするという責務を負っている。

ミッソーニ氏は同時に、アルピナのデザインも担当している。アルピナはかつて半独立系の高性能車ブランドだったが、2022年にBMWの完全子会社となることに合意した。
オーストリアで生まれ、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学んだミッソーニ氏は今年45歳。BMWグループのデザイン総責任者エイドリアン・ファン・ホーイドンク氏が編成したデザイン「内閣」の一員となった。
ミッソーニ氏はBMW 3シリーズから上位のモデルのデザインを担当しており、アルピナの同等モデルも手掛ける見込みだ。同僚には、ロールス・ロイスのドマゴイ・デュケク氏、Mモデルとミドルサイズ車を担当するオリバー・ハイルマー氏、ミニのホルガー・ハンプフ氏がいる。
したがって、ミッソーニ氏の作品によってBMWブランドの将来の評価が築かれることになるだろう。彼自身も、ブランドの歴史と評価の重要性をよく理解している。
「入社前から、BMWが自らの価値の本質を失うことなく、時に自らを刷新してきた姿勢を深く尊敬していました。伝統を守りながら革新を起こすには勇気が必要です。それを成し遂げられる者は多くありません」と彼は語る。
「だからこそ、わたしはこの会社に加わりたいと思ったのです」
ここで1つ疑問が浮かぶ。ミッソーニ氏の就任は、ルールを壊す革新の時代、物議を醸したクリス・バングル氏の時代を彷彿とさせるものとなるのだろうか?
彼は否定する。「わたしの仕事は、深みと質が伴うものになることを願っています。しかし、わたしは刺激よりも、価値を加えるためにここにいるのです」
デザインは不足を補うものではない
アルピナ関連の成果は「間もなく」見られるというが、現時点では詳細は明かされない。ミッソーニ氏と筆者がビデオ通話でやり取りする傍らで、画面外に「監視役」が2人控えていることも一因だ。
「ブランドは今やBMW傘下になりました。そのため、最初の構想を近々発表したいと考えています。現在準備を進めており、きっとワクワクするようなものを示せるだろうと確信しています」

アルピナは従来、独特のエンジン音やレスポンスといった要素でBMWの標準車と差別化してきた。電動化時代においては、そうしたチューニングメーカーらしいエンジニアリング的要素を新たに特別な外観などで代替する必要性があるのではないか。そうした筆者の提案に対し、ミッソーニ氏は少し反発するように、こう答えた。
「わたし達は常にデザインで特別なことを成し遂げたいと考えています。デザインは、足りない何かを補うためのものではありません。常に卓越したものであるべきです。アルピナブランドについては、近々包括的な発表を行い、すべてを説明いたします。もう少しお待ちください」
ミッソーニ氏の最も重要な課題である大型車に話題を移す。彼は、大型車カテゴリーにおける他社ブランドとの競争の激しさを熟知しており、ライバルの欧州メーカーはさらに高級路線を推し進める傾向にあると指摘する。
「それは正しいことだと思います。多くのブランドで、フィーチャー・コンテンツを通じたラグジュアリーの民主化がすでに始まっています。中国でも同様です。しかし、真のラグジュアリーは、ストーリーテリングと、数十年にわたる信頼と実績がますます重要になってきているとわたしは思います。こうした価値観のルネッサンスは、まだ始まったばかりです」







































