【じっくり見たい】ホンダe 内装/後席/トランクも撮影 呪縛を解かれたEV開発、航続距離283kmの新発想

公開 : 2020.08.05 21:53  更新 : 2021.10.11 09:33

新型EV「ホンダe」の実車をたっぷり撮影。日本における正式発表を前に、走り、内装、充電時間について、話を聞いてきました。決して長くない航続距離とした背景には、小さな電気自動車へのこだわりが。

「軽より小回りできる」電気自動車

photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

日本発表が待たれるホンダの100%電気自動車「ホンダe」を、じっくり撮影する機会に恵まれた。

多くの自動車メーカーは、EVにガソリン車と同じ使い勝手を求めて、バッテリーを大容量化し、ボディを大きくする傾向にある。

ホンダeは、小回りができ、扱いやすいサイズの都市型EV。最小回転半径は4.3mを達成した。
ホンダeは、小回りができ、扱いやすいサイズの都市型EV。最小回転半径は4.3mを達成した。    上野和秀

これに対してホンダは、電気自動車を小さく作って、使いやすくしたいと考えた。他社が陥っている呪縛から一旦逃れ、「街なかベスト」のEVを追求する道を選んだのだ。

ホンダe日本仕様のボディサイズは正式発表時に判明するが、今回1つの数値が明らかになった。

街なかで扱いやすい小回り性を確保するために、最小回転半径を4.3mに抑えているのだ。ホンダの軽自動車の回転半径が概ね4.5mであるから、それよりも取り回ししやすいことになる。

実は開発チーム発足時の構想メモでは、ホンダeはFF(フロントにモーターをマウントし、前輪を駆動)だったという。しかし、それではオーバーハングを短くできないし、舵角を大きく取れないのでリアモーター・リアドライブというRRレイアウトに行き着いた。

車体後部に積まれたそのモーターであるが、最大トルク32.1kg-mというパワフルなものが搭載されている。

アコードの駆動モーター搭載

ホンダeがリアに積むモーターに関して、一部のスペックが判明した。

新型アコードの駆動用モーターを流用しており、3LのV6エンジンのような大トルクを発揮するのが特徴だ。

前後重量配分50:50を実現するパッケージを採用。撮影した上位グレード車は、ミシュランのパイロットスポーツ4を履くことからも、走りへの本気度が伝わるというもの。
前後重量配分50:50を実現するパッケージを採用。撮影した上位グレード車は、ミシュランのパイロットスポーツ4を履くことからも、走りへの本気度が伝わるというもの。    上野和秀

最高出力:113kW(153ps)
最大トルク:315Nm(32.1kg-m)
最高回転数:11920rpm

走行モードは「ノーマル」「スポーツ」の2種類。これはモーターらしい加速か、もっと力強い加速なのかを選択できるものと考えればいい。

そして、それぞれの走行モードに対し、シングルペダル・コントロールの「オフ」「オン」を選択できる。これは減速に関するセッティングだ。

「オフ」なら一般的なAT車の感覚で走ることができ、クリープも行われる。「オン」ならスロットル・ペダルで停止まで減速できるが、クリープ動作は行われない。

また、シングルペダルの設定スイッチとは別に、ステアリングに備え付けられたパドルシフトで減速度も選択できる。

考え方としては、まず走行モードを前述の2種類から選び、好みの加速レスポンスにする。続いて、減速の強弱・クリープの使用有無からシングルペダル・コントロールを選ぶ。最後に実際に走ってみて、パドルシフトで自分のドライビングスタイルに合った減速度を選ぶという具合だ。

これが、EVでも走りを忘れないホンダならではのレシピということになる。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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