【なぜマクラーレンにSUV計画ない?】ランボ/アストン参入するも…… マクラーレンの独自世界感とは?

公開 : 2020.09.04 05:50  更新 : 2020.09.04 08:24

ランボルギーニ、アストン マーティンなどのスーパーカーメーカーがSUV市場に参入しています。ライバルメーカーともいえるマクラーレンは? 商品の記号性、製造面から「なし」といえる理由を桃田健史が述べます。

もくじ

スーパーSUV続々 マクラーレンは?
SUV 商品の記号性が異なるから
製造面でもSUV投入は難しいはず
実は英国ブランドには多彩なSUVが

スーパーSUV続々 マクラーレンは?

text:Kenji Momota(桃田健史)

ランボルギーニ、アストン マーティン、そしてついにフェラーリも……?

まさか、こうしたスーパーカーブランドがSUV/クロスオーバー市場に続々参入するとは。2010年代半ば以降に本格化したトレンドに、驚きや疑問を持っている人も多いはずだ。

中期経営計画トラック25では2025年までに合計18モデルの市場導入を示しているが、その中にスーパーSUVが含まれている可能性は極めて少ないというのが、自動車産業界の大方の見方。
中期経営計画トラック25では2025年までに合計18モデルの市場導入を示しているが、その中にスーパーSUVが含まれている可能性は極めて少ないというのが、自動車産業界の大方の見方。

さらに「次は誰だ?」となると、候補としてマクラーレンの名前が挙がるのは自然だ。

実際のところ、可能性はどうか?

マクラーレン・オートモーティブとしては「将来計画については、コメントできない」というのが当然だ。

同社が2018年に発表した、中期経営計画トラック25では2025年までに合計18モデルの市場導入を示しているが、その中にスーパーSUVが含まれている可能性は極めて少ないというのが、自動車産業界の大方の見方だ。

では、なぜそういう見方になるのか?

逆に言えば、そうした見方になること自体が、マクラーレンというブランドと、マクラーレンのクルマ造りを象徴しているのだと思う。

実際、今年(2020年)8月後半、愛媛県松山市を起点として開催された、極少人数ジャーナリストによる「720S」公道試乗会の際、日本および英国本国のマクラーレン・オートモーティブ関係者と直接、またはオンライン会議での意見交換をする中でも、「マクラーレンがスーパーSUVを作らない理由」が肌感覚でわかった気がした……。

SUV 商品の記号性が異なるから

そもそも、マクラーレンの量産車ビジネスは、1990年にマクラーレン・カーズとして立ち上がった。

ドライバーズシートがクルマの中心線上にある、ゴードン・マレー氏の奇抜な発想の「マクラーレンF1」。ダイムラーに買収されたAMGと連携したロン・デニスの新戦略で生まれた「SLRマクラーレン」などがある。

マクラーレンF1(手前)
マクラーレンF1(手前)    AUTOCAR英国編集部

こうしたカーズ時代のマクラーレン量産車を、いまになって振り返ってみると、フェラーリ、ランボルギーニ、ボルシェなど高級ブランドたちと同じテーブルで戦おうとする意識が見え隠れする。

しかし結果的に、量産車業界におけるマクラーレンの存在感は弱かった印象がある。

一方で、2010年にマクラーレン・オートモーティブが誕生した際にも、カーズ時代を知る業界関係者からは「本当に長続きするのか?」と懐疑的な見方があったのは事実だ。

だが、オートモーティブ時代の過去10年間を振り返ると、企業として目指す商品の記号性を明確にしたことで、カーズ時代とはまったく別の世界感とユーザー層を築き上げたのだと思う。

そうした記号性にスーパーSUVが合致しない。

もし、中期経営計画トラック25にスーパーSUVが組み込まれていたら、それがカーズ時代への逆戻りのイメージを助長してしまい、新生マクラーレンを大切にしているユーザーの心に水を差すことになりかねない。

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