シンプル仕様で味わう実力 プジョー308 1.2T ピュアテック(2) 操縦性や乗り心地は最高水準

公開 : 2025.12.16 18:10

シャープでスポーティな容姿をまとう308 必要充分な動力性能の1.2L 3気筒ターボは高い洗練度 慣れが必要なi-コクピット 流暢さが魅力的な操縦性 乗り心地しなやか UK編集部が試乗

洗練度が高い1.2L 3気筒ガソリンターボ

ザ・プジョーと呼べそうなハッチバック、308。近年の同社はプレミアム・ブランドへシフトする流れにあるが、トランスミッションが8速オートマティックのみとなったことにも、それは表れている。マニュアルは選べない。

今回試乗したベーシックな1.2L 3気筒ガソリンターボ、ピュアテック130も同様といえる。エンジンの洗練度は非常に高く、トルクフルでスムーズ。このクラスへ求められる動力性能を得ている。0-100km/h加速は、AUTOCARの計測では9.5秒でこなした。

プジョー308 1.2T ピュアテック130 GT(欧州仕様)
プジョー308 1.2T ピュアテック130 GT(欧州仕様)

8速ATはアイシン社製。ギア比がクロスしており、中間加速はなかなか鋭い。トラックの追い越しも、余裕を持ってこなせるはず。アクセルレスポンスに優れ、中回転域ではターボのブーストが効果的に速度を上昇させる。

一方、AT任せでは加速時のキックダウンへ消極的。高めのギアを保持しがちで、運転の楽しさを若干霞ませている。ブレーキペダルの感触は淡白だが、制動力は頼もしい。

流暢さが魅力的な操縦性 しなやかな乗り心地

ステアリングは、流暢さが魅力的。サスペンションのストロークが充分に長く、しなやかな身のこなしも心地良い。適度に引き締まったスプリングとダンパー、アンチロールバーと、重すぎないバネ下重量が功を奏している。

荒れた路面でも、反発することなく優しく受け止め、落ち着きは保たれる。流れるように駆け抜けるフィーリングは、明らかな強み。これでステアリングの重さと感触が増せば、運転体験は更に素晴らしいものになるはず。

プジョー308 1.2T ピュアテック130 GT(欧州仕様)
プジョー308 1.2T ピュアテック130 GT(欧州仕様)

i-コクピット流の小径なステアリングホイールが故に、パワーアシストは強め。速度によって手応えが変わり、市街地ではクルマとの一体感を少々抱きにくい。

他方、速度域の高い郊外の道では、自然な敏捷性を叶えたシャシーと調和。ボディロールは小さく、手首を軽く傾けるだけで、カーブをすり抜けていける。タイヤはミシュラン・プライマシーを履くが、グリップ力も不満なし。軽快な回頭性を支えていた。

シャシー性能を味わうには簡素な仕様がベター

試乗車は18インチ・ホイールを履いていたが、乗り心地も良好。鋭い隆起部分を通過した時に、軽い突き上げとサスペンション・ノイズが感取される程度。短時間試した17インチ・ホイールの方が、快適性は高いようだ。

ちなみに、車重が増えるプラグイン・ハイブリッドは、姿勢制御や乗り心地が僅かに劣る印象。本来のシャシー性能を味わうには、軽量・簡素な仕様がベターかもしれない。

プジョー308 1.2T ピュアテック130 GT(欧州仕様)
プジョー308 1.2T ピュアテック130 GT(欧州仕様)

高速走行時の車内ノイズは、フォルクスワーゲン・ゴルフと同等。80km/hでの巡航時に、65dBAを計測している。

燃費は、高速を定速で流した平均で19.5km/Lまで伸び、ハイブリッドを凌ぐ高効率を実現している。長距離を走る機会が多いドライバーにとっては、うれしい結果といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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