【カーシェア投資】信販会社も認めた違法な販売手法 全国の中古車店に警告文書が送付 「ローン貸し」とは

公開 : 2020.12.15 05:45  更新 : 2022.03.25 18:51

規約違反多数 実際どのように販売?

なお、X社に電話をしてこの文書を全国のオートクレジット加盟店に送信した理由を聞いたところ、「優良な加盟店様がトラブルに巻き込まれないよう、注意喚起の意味で送った」との回答を得た。

このX社とは異なるがスカイ車両のローン契約を多数請け負った信販会社の中には、ローン契約者(投資者)に対して「個人使用ではなくシェア目的で車両を購入することは規約違反」として一括返済を迫る会社もある。

さらに早期完済する際「規約違反による一括返済」という理由で、数十万円もの高額なペナルティを請求された投資者の存在も明らかになっている。

では話を戻して、スカイカーシェアのシェア車両として使われていたクルマがどのように購入されていたのかをお伝えする。

高級車を格安でシェアできるサービス「SKY CAR SHARE」は2018年春にスタートした。

シェア希望者は会員登録(無料)をおこない、マッチングアプリを経由して、短期利用では1日1万円前後、月単位の長期利用は1か月15〜20万円でシェア可能だった。

そしてシェア車両として投資者に購入させたクルマの多くは過走行車や事故車などもともとの価値が非常に低いクルマが多かった。

経営状態の悪化が発覚した2019年6月以降は、仕入れ業者によって事故車や不動車、冠水車や盗難車に至るまで特に粗悪で価値の低いクルマが多数集められている。

仕入れ価格の3~10倍以上の価格で7年ローンを組ませている例も少なくない。

また、「ローン貸し」「軒貸し」といった言葉を聞いたことがある人は少ないだろうが「ローン貸し」で違法に販売されたクルマもおそらく200台以上は存在する。

「ローン貸し」とは何か? 解説する。

ローン貸しとは(軒貸し)とは何か?

筆者もこの度初めて知った「ローン貸し」という言葉。

ネットで検索してもまず、正確な意味を知らせる言葉はヒットしない。Sグループの関係者が教えてくれた言葉である。

ローンにおいては「名義貸し」という言葉が一般的でこれは、諸々の事情で自分ではローンが組めない人が、友人知人に頼んで名義だけ借りてローンを組むことである。

意図的な名義貸しは刑法の詐欺罪にあたる重罪につながる可能性もある。

一方、Sグループと一般の中古車販売店の間で行われていた「ローン貸し」は、信販会社のオートクレジットを利用できない販売業者(Sグループ側の販売店など)が、オートクレジットを扱っている中古車販売店に対して「実際には仕入れも販売もしていないのに投資者に対してローンを組むこと」である。

軒貸しに応じた中古車販売業者はこの行為を手数料5%で請け負って、ローン購入のための契約書を作成。契約書にも会社名と代表者名が記されている。

首都圏と関西にある数店舗がローン貸しの依頼を受けていた確実な記録がある。

実際「関東在住のわたしがなぜ見ず知らずの関西にある中古車店で車を買ったことになっていたのか? 不思議だったんですよね」という投資者もいる。

事情通はこう話す。

「中には150台以上のローン貸しを請け負った販売店もあります」

「オートローン代理店が違法な契約をした場合は、信販会社から3者契約の流れで請求がきますね」

「販売店は信販会社に全額返還するか? 倒産の道を選ぶかです」

「ローン貸しは重大な規約違反ですから、全額返済したとしても今後、その販売店でローン販売はできないでしょう」

「加担した販売店は早々に倒産させるか、オーナーからクルマを引き上げして販売するか……、と言っても大した価値はないでしょう」

「社長を交代させて現金商売オンリーにするか。会社を持たず、中古車ブローカーとして活動することは可能ですけども」

「自分で会社を興すことは難しいでしょうね」

次々と明るみに出るSグループの違法行為。次回は自動車保険悪用の驚きの実態をお届けする。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像