【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#35 イタ車の中のイタ車、車検を迎える!
公開 : 2026.06.12 12:05
自動車はロマンだ! モータージャーナリストであり大乗フェラーリ教開祖の顔を持つ清水草一が『最後の自動車ロマン』をテーマに執筆する、隔週金曜日掲載の連載です。第35回は『イタ車の中のイタ車、車検を迎える!』を語ります。
車検の時期がやってきた!
大貴族号こと5代目マセラティ・クワトロポルテ・スポーツGT(2007年式のデュオセレクト)が納車されて約1年が過ぎ、車検の時期がやってきた。
納車時の大貴族号は、走行距離約6万kmだったが、現在は6万5000km。このテのクルマとしては、まあまあ乗ったほうだろう。

奇跡的にトラブルはほとんどない。信じられないほど調子がいい。というか、むしろ調子が上がっているのだから信じられない。
納車時は、「低速トルクがなくて出足がすごく遅いなぁ」と感じていたが、いつのまにか軽快に発進し、低い回転域でもスムーズに加速するようになった。いったいナゼ?
決してV8をブチ回しているわけではないので、シリンダー内やバルブにたまった(かもしれない)カーボンが燃焼して吸排気がスムーズになった、ということはないだろう。
じゃ、コンピュータが学習したのか? いやー、いまさらそんな初歩的なことを学習するのも変だ。なにしろ生産から19年も経っているのだから。
マセラティの19歳は、人間の年齢で言えば60歳代、つまり私と同じくらいだろう。今になって学習効果が出てきたなんて考えられない。逆にどんどんモノを忘れて行く年頃なのだから。
とにかく大貴族号は、以前より明らかに乗りやすくなっている。不思議すぎる現象である。
しばらく放置したら自然治癒!
この1年間、トラブルはほとんどない。現状、故障は『ハザードが出ない』だけである。あと、左リアドアがたまに開かなくなったが、これはしばらく放置したら自然治癒した。
この自然治癒も実に不思議だった。大貴族号のドアノブには、ロック解除の握りが2個付いていて、手前側が電磁式、奥側が物理式になっている。電磁式が故障しても、奥側を握れば物理的にロックが解除されるという、転ばぬ先の杖な構造なのである。

大貴族号の左リアドアは、その電磁式のほうがたまに働かなくなる症状があったが、奥側の握りで開けられた。
ところがある日、そっちも固まって動かなくなってしまったのだ。ありゃー、物理式もダメってことは、機械的な故障だなと思っていたら、何もしてないのに、いつのまにか両方とも直った。信じられないが本当の話である。さすがマセラティはイタ車の中のイタ車だぜ!
19年前のNHKニュースみたい!
ただし、エンジンを始動すると、メーターパネルに警告表示(英語)がいくつも出る。
最初から出ていた『タイヤ空気圧感知システムが合わされていません』に加えて、『エアバックシステムが故障しています』と、『システム(何のシステムだか不明)がプログラムされていません』と、『エレクトリカルシステム(何のだか不明)が故障しています』が入れ替わり立ち替わり出る。

加えてセンターコンソールのモニターには、『4ケタのキーコード(そんなの知らない)を入れてください』が出たまま固まっている。
一度バッテリーを上げてしまってから、こういう状態になっちゃったんだけど、走行にはまったく問題がないので、車検まで放っておいたのである。
警告表示はすべてコケ脅し(たぶん)だし、センターコンソールに映るナビは、19年前のNHKニュースみたいでまったく約に立たないし、オーディオもCDしか聴けないので一切使っていない。
当初は車載スピーカーから音を出すべく、激安FMトランスミッターで音を飛ばしていたが、速攻で面倒くさくなり、今はアイフォン本体のちっこいスピーカーから音楽を流して満足している。
そんな絶好調の大貴族号が、納車以来初の車検を迎える。
私はタコちゃん(マイクロ・デポ岡本和久代表)に、「故障しているのはハザードだけです」と伝えて、クルマを預けた。ハザードは是非直してもらいたいのだ。大貴族号は現状絶好調だけど、いつ止まるかわからないので、ハザードは超重要なのである。
(つづく/隔週金曜日掲載、次回は6月26日金曜日公開予定です)










