532psのホンダK20Cユニットを搭載 アリエル・アトム 4RR x BMW M2 CS(1) バンジージャンプ級スリルを地上で

公開 : 2026.06.12 18:05

ホンダのK20Cユニットを532psへ強化し、エアロキットで武装したアリエル・アトム 4RR。無重力の中を飛ばすような敏捷性を、UK編集部がサーキットで体感。BMW M2 CSを比較相手に全開放です。

アリエル・アトムなら可能かもしれない

バンジージャンプ級のスリルを、地上で味わうには? サーキットへ向かう必要はあるが、ボディパネルが殆どないアリエル・アトムなら可能かもしれない。 4RRなら特に。

美しく弧を描くスペースフレーム・シャシーがまとうモノといえば、最小限のノーズコーンと、アクリル製フロントスクリーン程度。高速走行するクルマへ空気と質量が与える影響を、これほど如実に体験できるクルマは珍しい。

イエローのアリエル・アトム 4RRと、ダーク・ブルーのBMW M2 CS
イエローのアリエル・アトム 4RRと、ダーク・ブルーのBMW M2 CS    マックス・エドレストン(Max Edleston)

2018年登場のアトム4は、シンプルさを極限まで追求した、至高のドライバーズカーだと表現できる。しかも、すこぶる速い。ただし従来は、ある程度の速度域まで。

190km/h前後を過ぎると、加速力は突然衰えた。複雑な見た目が生み出す、空気抵抗が後ろへ引っ張るからだ。目には見えなくても、変化する音や手足の感覚として感じ取れた。実際には、徐々に速度は上昇していたとしても。

ホンダのK20Cユニットは532psへ

数世代に及ぶ進化で、アリエルはアトムの限界を更新してきた。その最新版となるのが、この4RRだ。その実力は高く、全力を開放するには安全で滑らかなコースが必要になる。英国最速を自称する、スラクストン・サーキットが好適だろう。

アトム 4RRがミドシップマウントするのは、ホンダのK20Cユニット。2.0L 4気筒ターボは、同社の技術者による100時間に及ぶ作業によって、532ps/8200rpmという驚異的なパワーが引き出されている。最大トルクは、56.0kg-mに達する。

アリエル・アトム 4RR(英国仕様)
アリエル・アトム 4RR(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

専用のシリンダーヘッドとシリンダースレーブに加えて、鍛造ピストンとコンロッド、1400ccの大容量インジェクター、1.7barのブースト圧を生むターボを採用。2023年のアトム 4Rから、3割も強化されたというから驚いてしまう。

オーリンズ社製ダンパーをインボードで実装

エンジン冷却用のサイドポンツーンは、4Rから拡大。ブレーキはAPレーシング社製で、フロントのディスク直径は310mmあり、ホイールに収まるギリギリだという。

サスペンション・スプリングは強化され、調整式のオーリンズ社製ダンパーをインボード構造で実装。ウイッシュボーンは断面がウイング状で気流を整え、アライメント調整が簡単なハブを結ぶ。

アリエル・アトム 4RR(英国仕様)
アリエル・アトム 4RR(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

数少ないボディパネルは、カーボンファイバー製。車重は、通常のアトム 4より50kg近く軽いそうだ。イエローとブラックのカラーリングが、警戒色で物々しい。前後のウイングは、他のモデルが刻んだラップタイムに対する、あからさまな挑戦状だろう。

実際、見た目通り揚力は減少しているのだろうか? ドラッグを減らし、ダウンフォースを生み、空力的なバランスも整えているのだろうか? 疑問は湧くが、このエアロキットは、通常のアトム4にも組むことができるらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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