【究極のXKになり得た】ベルトーネ・ジャガーXK150 現存1台 魅了するクーペ 前編

公開 : 2021.02.21 07:05

魅了されるほど妖艶なボディに包まれた、ジャガーXK150「XKE」。イタリアのカロッツェリア、ベルトーネが生み出した1957年の貴重な1台をご紹介しましょう。

もくじ

スカリオーネが描き出した優雅なボディ
オリジナルのXK150よりはるかにモダン
ミラノからカリフォルニアへ
ジェットブラックを引き立てるタン・レザー

スカリオーネが描き出した優雅なボディ

text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
イタリアのデザイナー、フランコ・スカリオーネが描き出した、大胆なボディ。ロンドンでアルファ・ロメオBATが発表されると、1年間ほど大きな話題を呼ぶことになった。

今回は、スカリオーネの別の傑作をご紹介したい。近年見事なレストアを受けた、1957年のベルトーネ・ジャガーXK150、XKEだ。今でもその美しさで、多くの人を魅了している。

ベルトーネ・ジャガーXK150(XKE/1957年)
ベルトーネ・ジャガーXK150(XKE/1957年)

楕円形のグリルに添えられたジャガーのエンブレムを見るまで、マセラティやフェラーリに勘違いする人も多いだろう。英国コベントリーでは叶えられなかった優雅なボディが与えられ、見事なイタリアン・クーペへ変身を遂げている。

リアフェンダーには、繊細な書体でXKEと記される。初代XKにかわり登場した、かの有名なEタイプを4年前に予見するかのように。実際には、エクスペリエンスの頭文字だったようだ。

オリジナルとはまったく別のデザインが与えられた、XK150。上級スポーツクーペには大胆な見た目が必要だと、ジャガーを率いるウィリアム・ライオンズへ気づかせることにもなったはず。

1950年代、スカリオーネはイタリアのカロッツェリア、ベルトーネのスタジオで実力を発揮。アルファ・ロメオ・スポルティーバやジュリエッタ・スプリント・スペチアーレなど、素晴らしいデザインを次々に創造した。

裕福な顧客に対しても、1点もののボディが描かれた。その結果、英国の技術を内包した優雅なグランドツアラーが生み出されることになったのだ。

オリジナルのXK150よりはるかにモダン

同時期には、ベルトーネ・ジャガーXK150の他に、アストン マーティンDB2/4をベースとしたモデルも作られている。どちらもオリジナルは、少し時代遅れのボディをまとった量産車だった。

2台とも、ルーフ形状は似ていた。細身のピラーに大きく弧を描くガラスが前後に付いている。小さなフロントグリルを備え、ヘッドライトからボディラインが伸び、フィンの立ったテールエンドへ流れる。スカリオーネの作品としては、抑制が効いている方だ。

ベルトーネ・ジャガーXK150(XKE/1957年)
ベルトーネ・ジャガーXK150(XKE/1957年)

フロントとリアにはボディ幅いっぱいのバンパーが付き、サイドシルにもクロームのモールが飾られる。XK150フィックスドヘッド・クーペより、数年先を行く見た目だった。

フロントフェンダー後ろの格子状のエアベントや、クロームメッキで飾られた卵型のテールライトなどは、スカリオーネのディテールとして新しい。復元されたジャガー・ベルトーネXK150でも観察できる。

ボディはスチール製。スカリオーネの指揮のもと、ベルトーネの職人による叩き出しで成形された。完全なオーダーメイド・ボディを生み出した才能と、仕上げるまでに費やした労力の大きさは、一般人には想像が難しい。

1957年のイタリア、トリノ・モーターショー。ベルトーネは2台の特別なモデルを展示する。アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スプリント・スペチアーレと同時に発表されたのは、アストン マーティンDB2/4の方だった。

恐らくベルトーネは、アストン マーティンのボス、デイビッド・ブラウンが共同プロジェクトとして興味を持つことを期待したのだろう。実現しなかったが。

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