予算300万円で成功者になれる?初代ジャガーXKで幸せになりたい【第5水曜日の男、遠藤イヅルの令和的ヤングタイマー列伝:第4回】

公開 : 2025.07.30 21:05

クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルが、令和的なヤングタイマーを語る連載。マニアック体質の筆者らしく、年に数回の『第5水曜日』限定でお送りしています。第4回は初代ジャガーXKをピックアップしました。

初代XKは、ジャガー伝統の大型クーペ

こんにちは。クルマを主体としたイラストレーター兼ライターの遠藤イヅルです。年に数回だけやってくる『第5水曜日』に、今見直したいヤングタイマー世代のクルマについて記す当連載。第4回は、『初代ジャガーXK』をお送りします。

2025年を迎えたと思っていたら、あっという間に本年3回目の第5水曜日を迎える7月に突入してしまいましたね。早いなあ……。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

初代ジャガーXKは、長いノーズと流れるようなボディが魅力的だ。
初代ジャガーXKは、長いノーズと流れるようなボディが魅力的だ。    ジャガー・ランドローバー

それはさておき今回取り上げるのは、1996年から2006年まで生産されたジャガーXKの初代、いわゆるX100と呼ばれるモデルです。戦後まもない1948年に登場したXKシリーズ、Eタイプ(XK-E)、そしてXJS(登場時はXJ-S)と、ジャガーは伝統的に大型クーペを用意してきましたが、XKもまさにそのひとつ。

1989年以降フォード傘下に入ったジャガーにとっても、1975年から作られ続けてきたXJSのリニューアルという重要な役目も負っていました。それは、車名にかつての名車XKがリバイブされたことからもわかります。

全長4.76m、全幅1.83m、全高1.27mという長く、広く、低いプロポーション、そしてロングノーズに長めのリアオーバーハングというサイドビューは、いかにもジャガー・クーペという佇まい。Eタイプのイメージが強く反映されているデザインだと思います。

ボディバリエーションも伝統を継ぎ、クーペとコンバーチブルを設定。クーペのキャビンはとくに流麗で、大型クーペ特有の伸びやかさを湛えていました。広くはないものの実用に足るリアシートを持つ2+2モデルだったのは、前任のXJS譲りです。

優れた内外装デザインとパフォーマンスでヒット作に

一方エンジンに関しては、XJSから大きな変化がありました。最終型のXJSでは4L直6と6L(!)V12を載せていたのですが、XKでは、同時期のXJ(X308)にも搭載された、新開発の『AJ-V8』と呼ばれる4LのV8のみにチェンジ。294psをマークしました。

1999年になると、スーパーチャージャーで武装を行った『XKR』を追加。最高出力は自然吸気のノーマルエンジンから81psアップの375psまで強化されていました。

マイチェンで外観デザインを変え後期モデルとなった2004年式XKR。
マイチェンで外観デザインを変え後期モデルとなった2004年式XKR。    ジャガー・ランドローバー

2002年には排気量を4.2Lに拡大。XK8は304ps、XKRは406psに増強されています。2004年になって外観に大きなアップデートを行い、2006年に2代目XKに後を譲って生産を終了しました。

と、ここまでざっくりと初代XKの歴史を振り返ってきました。初代XKは優れた内外装デザインとパフォーマンスによって世界的に人気を博しヒット作に。日本でもよく見かけた記憶があります。

1996年当時の発売価格は、最廉価でも888万円という高額車。1999年のXKRコンバーチブルは1255万円、2005年頃の最終限定モデルであるXKR4.2-Sコンバーチブルでは、1590万円に達しました。

それにしても、確かに絶対的な価格は高価なものの、1996年時点のXK8クーペが888万円だったのって、現代の価値からするととてもリーズナブルな気がします。

そんな初代XKも生産終了からほぼ20年。発売開始からおおむね30年という時期になりましたが、昨今のクルマの常で極端にレトロに見えることもなく、現代の路上でほかのクルマと同じように使えるのはいうまでもありません。XKも、クルマに詳しくなければ20〜30年前のクルマには見えないはずです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    遠藤イヅル

    Izuru Endo

    1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター兼ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。実用車や商用車を好み、希少性が高い車種を乗り継ぐ。現在の所有は1987年式日産VWサンタナ、1985年式日産サニーカリフォルニア、2013年式ルノー・ルーテシア。
  • 平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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