【英国価格はアウディA4並み】ジャガーXFスポーツブレーク D200へ試乗 マイルドHV 後編

公開 : 2021.02.15 19:05

マイルドHVの2.0Lディーゼルを積むXF D200。上質なハンドリングと洗練されたインテリア、手頃な価格が強く後押しすると、英国編集部は評価します。

ベストといえる操縦性と高い充足感

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
マイルド・ハイブリッド化された、ジャガーXFのD200。一般的な条件で英国の道を走らせれば、18km/Lくらいの燃費は達成できるだろう。沢山の荷物を積んでいなければ。

5年前の4気筒インジニウム・ディーゼルは、少し動きのダルいATと組合わさり、若干にぎやかで頼りない印象があった。だが、マイルド・ハイブリッド化されたこの仕様では、明らかにトルク感が違う。

ジャガーXFスポーツブレーク D200 MHEV(英国仕様)
ジャガーXFスポーツブレーク D200 MHEV(英国仕様)

同時に機械的な洗練性や車内の隔離性は、年度を改める毎に良くなっていた。さらに新しいXFにはノイズ・キャンセリング機能も搭載され、音の発生源が気になりにくくもなっている。

一方、8速ATにはもう少しの改善を求めたい。時折変速をためらう場面もあり、低速域ではやや急ぐように変速を済ませるように感じることもある。

立派な金属製のシフトパドルを弾いても、目立ってシャープに反応するわけでもない。とはいえ、磨き揉まれたパワートレインの輝きを、完全に霞ませてしまうほどの癖とはいえないだろう。

フェイスリフトを受けたXFでは、このターボディーゼルのD200とターボガソリンのP250が、唯一後輪駆動を選択できる仕様となる。D200では、四輪駆動も指定できる。

後輪駆動のジャガーXFは、ミドルサイズのサルーンやステーションワゴンでベストといえる操縦性と、充足感の高いドライビングが味わえるモデルだと評価してきた。フェイスリフト後でも、その特徴は変わらない。選ぶ価値は間違いなくある。

ドライバーを惹きつける後輪駆動の仕立て

試乗したD200には、オプションの20インチ・ホイールとアダプティブダンパーを備えていたが、このクラスのジャガーに期待する通りの、柔軟で滑らかな乗り心地を備えていた。それでいて、コーナリング時のバランスは高く、操縦性に優れる。

ステアリングホイールは正確で直感的に反応し、重み付けも適正。漸進的で鮮明な身のこなしで、大きなボディを簡単に導いていける。スポンジーな印象もなく、グリップレベルも手のひらを通じて把握しやすい。

ジャガーXFスポーツブレーク D200 MHEV(英国仕様)
ジャガーXFスポーツブレーク D200 MHEV(英国仕様)

低速コーナーでは、ポジティブに姿勢を変化させられる充分なトルクも引き出せる。高すぎないグリップと自然な操縦性という特長は、後輪駆動のエグゼクティブ・モデルとして訴求力に秀でる。運転にこだわりのあるドライバーを、惹きつける仕立てだと思う。

このXFには、現代的な運転支援システムと電子アシストが搭載されている。だが完全にオフにすことも可能で、クルマとドライバーとの間の純粋な楽しみに、余計な介入をなくすこともできる。

サルーンとスポーツブレークとのメカニズム上での違いは、ステーションワゴンとして重い荷物の運搬やトレーラーの牽引に備えて、セルフレベリング機能がリアサスペンションに付くこと。だが、明確に動的性能が変化するほどではない。

路面からの音振の侵入は、ワゴンボディでも良好。長い起伏が連続するような場面でも、車内の揺れの周波数はよく制御できているようだ。

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