【生活四駆とは?】雪国試乗で実感 スバルへの「信頼」生まれた背景

公開 : 2021.03.05 05:45

四駆のイメージ変えた「スバル

1972年、スバル国内初の乗用AWDの公道試乗が山形県の月山で実施された。

その走行風景を記録したスバルが保管する映像を見ると、ボンネットの高さ近くまでの深い雪のなかをクラシカルな風貌の試験車が豪快に走破していく。

スバル・フォレスター
スバル・フォレスター

そこには近年のようなアウトドアの楽しみといったソフトなイメージはなく、厳しい気象環境のなかでどうやって生き抜いていくのか、というスバルから雪国の人たちに対する真剣なものづくり精神を感じる。

その後、4ドアセダンっぽい外観デザインながら、雪国での走破性を加味して少し腰高な設計となったレオーネが登場する。

レオーネの発売以降も、スバル(当時の富士重工業)は日本国内や世界各所のリアルワールドを徹底的に走り込み、開発陣が「自分事」として雪国の暮らす人の気持ちになり、さらに販売店やユーザー自身に直接聞き取り調査をするなどして、雪国の生活に根差したクルマづくりを心掛けてきた。

こうしたスバルの取り組みが、結果的に「生活四駆」という言葉を生むことになる。

雪国での四駆といえば、スズキジムニーや、トヨタランドクルーザーなどが乗用にも使われるが、これらは主として林業や建設工事業での商用、または市町村の役場や警察などでの公務用という考え方が強かった。

そんな四駆のイメージをスバルが変えた。

スバルの新たなる挑戦

レオーネの四駆技術は、インプレッサへと引き継がれ、熟成の場は世界ラリー選手権(WRC)に到達することになる。

その過程でレースやラリーを見据えた高度な商品開発を行うスバル・テクニカ・インターナショナル(STI)が誕生する。

スバル・レヴォーグ(初代)
スバル・レヴォーグ(初代)    スバル

一方、生活四駆やハードなダート走行のイメージが強過ぎることで、新規ユーザー獲得に向けた商品としてのスバルの間口の狭さも露呈するようになる。

そこで2000年代序盤から中盤にかけて、市場規模が大きい北米市場強化に打って出た。

登山・自転車などアウトドア向けのいわゆるギアという商品性の強化、販売店の再編、そして地域社会と密接な関係を築こうとするマーケティング戦略「ラブキャンペーン」などが連動したことで、スバルの北米での販売台数は右肩上がりとなった。

こうした北米シフトの、いわば反動として、日本市場最優先のレヴォーグの登場につながった。

時代は2020年代となり日本のみならず、世界市場でキャンプや車中泊など、アウトドア・アクティビティがクルマの商品性として注目され、SUVシフトとSUVの多様化が加速している状況だ。

本家「生活四駆」のスバルはこれから、どういった方向に進むのか?

そこにはいつも、リアルワールドでのモノづくり精神が基本であり続けるのだと思う。最新スバルで雪国をじっくり巡って、そう感じた。

関連テーマ

おすすめ記事

 

スバルの人気画像