【セナと過ごした24時間】伝説の男、アイルトン・セナ 愛車同乗・サーキット試走 AUTOCAR回想録

公開 : 2021.06.05 06:05

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19時30分、オックスフォードシャー州グレート・ミルトンの高級ホテルにて

セナは、F1で活躍した多くの同僚とは異なり、公道ではクレイジーな運転はしない。それに、わたし達の後ろにはアイルトンの父親であるミルトン・セナがホンダ・レジェンドで追走している。

セナはグレート・ミルトンにあるホテル、レイモンド・ル・マノワール・オ・キャトルセゾンに宿泊したことがある。セナが到着すると、ホテルのスタッフは喜びを押し殺した様子で出迎え、女の子は顔を赤らめ、男の子はクールを装う。彼らは皆、セナから手を振ってもらって喜んでいる。

●午後8時30分

セナは1984年からF1に参戦し、トールマン、ロータス、マクラーレン、ウィリアムズとチームを渡り歩いた。
セナは1984年からF1に参戦し、トールマン、ロータスマクラーレン、ウィリアムズとチームを渡り歩いた。

アイルトンは父親と2人で食事をする。アイルトンはよく食べるが、飲み物はエビアンの水だけ。夜中の12時前には1泊220ポンド(約3万4000円)のベッドに入る。

●1991年6月24日(月)午前7時30分

セナは早起きして、運動して、走って、朝食をとる。ミルトンは、クルマでシルバーストンに向かう息子の横で静かに座っている。

●午前10時、シルバーストン – アラン・ヘンリーのレポート

憂鬱な雨の壁が濡れた毛布のようにサーキットを覆っている。セナはオーバーオールに着替え、マクラーレンのエンジニアやホンダの技術者と打ち合わせをする。

●10時20分

メキシコGPで3位に終わったセナにとっては、エンジンテストが最優先事項だ。ホンダは、RA121EというV12エンジンのパワーをもっと引き出す必要がある。セナはシーズン前のテストからそのことを認識しており、エンジニアたちが今後の課題を過小評価していないだろうかと気にかけている。

シルバーストン・サーキットにて

●午後1時、マールボロ・マクラーレン・モーターホーム

昼食のための休憩。天候に恵まれず、結論は出ていない。翌日には最新のスペック3エンジンの1号機を評価することが決まっている。

ジャーナリストたちがセナに近づき、さまざまな意見を求めている。彼は、シルバーストーン・サーキットの新しいレイアウトについて率直に語った。

1984年のモナコGP
1984年のモナコGP

「場所によっては、あまり快適ではない。アイロンがけが必要なバンプがいくつかある。安全のためには、まだまだ改良が必要だ」

カナダとメキシコでマクラーレンのペースが落ちたことについてはどう感じているのだろうか?

「メキシコでは特に問題はなかったけど、ウィリアムズに勝つには不十分だった。カナダでは彼らに太刀打ちできなかったし、メキシコでは接近したけれど、彼らのパフォーマンスには及ばなかった」

「幸運にも、今年は開幕から4つのレースに勝ったことで、エンジニアたちが前進するためのゆとりができた。最大の問題はエンジン性能だけど、ホンダはエンジンの仕様を抜本的に変更して、ウィリアムズやフェラーリとの関係を修復することに力を注いでいる」

●午後4時45分、ピットレーン

新しいシルバーストンを評価するために、ワールドチャンピオンに協力してもらうには、いくつか計画が必要だった。しかし、アイルトン・セナも、ホンダNSXも、そしてこのサーキットも、すべてわたし達のものになった。雨が降っていたので、ボートの方が適していたかもしれないが、セナは気にしていないようだった。

ロードテスト副編集長のアンドリュー・フランケルは、喜びを隠しきれない様子でNSXの助手席に乗り込み、ワールドチャンピオンが運転手を務める思い出深い20分間を過ごした。

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