【コスワース・エンジン搭載】モーガン4/4 初代オーナーはレースドライバー 後編

公開 : 2021.09.04 17:45

40年以上も乗り継がれる、コスワース・エンジンを積んだモーガン。最近になって由緒ある歴史が判明した4/4を、英国編集部がご紹介します。

1498ccのコスワース・エンジンを積む4/4

執筆:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)
撮影:Will Williams(ウィル・ウイリアムズ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ティム・ハーパーが40年以上をともにするシルバー・ブルーのモーガン4/4は、レーシングドライバーのジョン・マッケニーがレースを戦ったクルマだった。そもそも4/4は、レーシングカーとして注文されていた。

軽量なアルミニウム製ボディにワイヤーホイール、ルーバーの入ったボンネットと、バケットシートが組まれていた。アームストロング社製のセレクタライド・ショックアブソーバーを備え、前後のバンパーが省かれていた。

モーガン4/4(1964年/英国仕様)
モーガン4/4(1964年/英国仕様)

軽く流線型の、ローレンス・チューン社製グラスファイバー・ハードトップが与えられ、わずか6台が造られた中の1台だった。エンジンは、マッケニーが手配する段取りだったという。

ホモロゲーション取得を目的に、モーガンの工場で撮影された写真が残っていた。標準的なフォード製ユニットではなく、1498ccのコスワース・エンジンが収められた姿だった。

ドライサンプで徹底的にチューニングされ、最高出力は120ps以上。軽量な4/4は、マッケニーのドライブでレースを有利に運んだ。

ほかのモーガンを凌ぐ性能を発揮したとはいえ、4/4が出場した1151-1600ccクラスには、さらに軽量でパワフルなロータスエランとエリートも戦っていた。ジム・クラークやジョン・ウィットモアという、名ドライバーも。

それでも、1964年4月に開催されたオールトン・パークでのレースでは、総合13位、クラス6位でマッケニーはフィニッシュ。続くシルバーストーン・サーキットでは、クラス2位を掴んでいる。

ジャッキー・スチュワートとも戦った

5月にマロリー・パークで開かれたBRSCC(ブリティッシュ・レーシング&スポーツカークラブ)のイベントでは、12台のロータス・エランに対し、唯一のモーガンとして参戦。ピーター・アランデルやジャッキー・スチュワートなどとしのぎを削った。

マッケニーもロータスの強さに惹かれ、翌1965年にモーガンを手放す。その後は、F1のエアロダイナミクス技術者やディレクターとして活躍したハーベイ・ポスルスウェイトや、ジョン・ベリーという人物が順にオーナーとなっている。

モーガン4/4(1964年/英国仕様)
モーガン4/4(1964年/英国仕様)

ハーパーが説明する。「ジョンと話がしたくて、一度伺っています。彼は、自宅のガレージでシャシーのグリス除去に挑戦し、薬物の影響で一晩失神したことがあったそうです」

「ジョンは、コスワース・エンジンを4/4から取り出し、ブラバムのシングル・シーターに載せてスプリントレースやヒルクライムも楽しんでいます。その後、コスワース・エンジンはマーティン・ワイアットが買っています」

ハーパーがワイアットと対面したのは、2004年のル・マン・クラシック。偶然の出会いだったという。予想に反して、何年間もエンジンは維持されていた。「彼はモーガン・プラス8で来る予定だったようですが、不具合が起きて4/4で来場していました」

「ボンネットの内側を覗くと、そのエンジンが。歴史を必死に説明しましたが、その時のマーティンは売るつもりはないとの一点張りでした」

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