【繁忙期なのに】英国新車登録台数 9月は「23年ぶり低水準」 EVは販売好調続く

公開 : 2021.10.06 06:25

英国における9月の新車登録台数は、パンデミックや半導体不足の煽りを受け、前年比34%減と低水準を記録。

販売低迷も電動モデルは好調

執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

SMMT(英国自動車工業会)が発表した統計によると、英国内における今年9月の新車登録台数は21万4312台で、9月の数字としては少なくとも1999年以来最低であるという。

従来なら9月は繁忙期であるが、前年同月比34.4%減、過去10年間の平均値と比べても44.7%低い数字となっている。

全体的な売上が低迷する中で、EVの販売台数は伸び続けている。
全体的な売上が低迷する中で、EVの販売台数は伸び続けている。

昨年9月の32万8000台という数字でさえ、22年ぶりの低水準とされていた。これは、パンデミックの影響でディーラーや工場が操業停止し、生産量が減少したためである。

販売低迷の原因は、半導体の不足が続いているため世界的に自動車生産量が減少し、多くの工場が数か月間にわたって操業不能に陥り、納車までの期間が延期されていることにあると言われている。

しかし、電動モデルの販売は依然として好調で、9月に登録されたバッテリー式電気自動車(BEV)は約3万2721台と、2019年全体と比べてもわずか5850台少ないだけだった。単一月におけるBEV割合としては過去最高で、市場シェアは15.2%に上昇した。

また、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の市場シェアは6.4%となり、2020年と比較して11.5%増加した。

個人購入者の需要は25.3%減の12万560台にとどまったが、9月の数字に最も大きな影響を与えたのは43.1%減の法人需要だったという。

半導体の影響は「いくら強調してもしすぎることはない」

SMMTのマイク・ホーズ会長は、今回の結果を「非常に残念」としながらも、「出荷を維持するためにあらゆる手段を講じており、顧客はさまざまな新車の魅力的なオファーを期待できる」とメーカーの取り組みを評価している。

「このような課題にもかかわらず、プラグインカー、特にBEVの導入が急速に進んでいることは、これらの新技術に対する需要が高まっていることを示しています」

脱エンジン車を目指す英国は電動モデルへの乗り換えを促進している。
脱エンジン車を目指す英国は電動モデルへの乗り換えを促進している。

「しかし、脱炭素社会を実現するためには、すべてのドライバーが乗り換えを進められるようにする必要があり、公共の充電インフラに大規模な投資を行わなければなりません。充電ポイントの整備を進め、プラグインカーの登録台数の増加に対応する必要があります」

また、SMMTが最近行った発表では、8月の英国の新車生産台数が27%減少したことも明らかになっている。これも半導体不足の影響とされ、今年に入ってからはパンデミック前の2019年に比べて32%も減少している。

ホーズ会長は先週、この状況は「業界にとっても、全国で働く何千人もの労働者にとっても、極めて憂慮すべきもの」と述べており、今回発表された9月の新車登録台数はその懸念をさらに強めることになるだろう。

同氏は次のようにコメントしている。

「唯一の要因ではありませんが、半導体の不足が製造業に与える影響はいくら強調してもしすぎることはありません」

「自動車メーカーとサプライヤーは、生産ラインを維持するために奮闘しており、その制約は2022年以降も続くと予想されています」

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