ルーフが高いのはリアエンジンの証 RRでミニ・シリーズに勝負(2) ミニ・カントリーマン vs ヒルマン・ハスキー

公開 : 2026.05.31 17:50

FFのミニ・シリーズと比較されがちな、RRのインプ・シリーズ。ライバルとなるモデルが、同時期に提供されていました。スポーツ仕様から小さなワゴンまで、3種の魅力をUK編集部が比べます。

木製フレームを採用したワゴンボディ

1969年式オースチンミニ・カントリーマン MkIIのステアリングホイールを握ると、子供だった頃の記憶が蘇る。スライド式サイドウインドウに、ヒーターファンのスイッチ、独特な4速MTの唸りが相まって、薄暗いスーパーマーケットの駐車場を思い出す。

このクルマのオーナーは、アイザック夫妻。1967年から1969年に生産されたMkIIの1台で、かなりの希少車といっていい。小変更後のフロントグリルの奥に、ライレー・エルフと同じ998ccの4気筒エンジンが載っている。

オースチン・ミニ・カントリーマン(1967~1969年/英国仕様)
オースチン・ミニ・カントリーマン(1967~1969年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

同時期のモーリス・ディーラーにはミニ・トラベラーが並んでいたが、構造体ではない、木製フレームが飾るステーションワゴンのボディは共通。オースチンとモーリスは、スチールボディの安価なワゴンも用意したが、同等の地位は得られていない。

小さな見た目ほど利かない小回り

夫のロバート・アイザック氏がカントリーマンを欲した理由は、そもそもミニが好きだったから。「クラブマンを既に所有していたんですが、叔父の友人が庭にカントリーマンを放置していたんです。ボディカバーをかけて。助ける必要がありました」

ミニをベースとするが、カントリーマンの走りはさほど軽快ではないと続ける。「車高が低いので、周りのドライバーとの意思疎通は難しいですね。快適装備は殆どありませんが、運転は最高に楽しいですよ。色んな人から、思い出話も聞けます」

オースチン・ミニ・カントリーマン(1967~1969年/英国仕様)
オースチン・ミニ・カントリーマン(1967~1969年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

リアドアは観音開きで、荷室は四角く広々。ロバートが抱く数少ない不満は、ステアリングホイールの重さだという。小回りも、小さな見た目ほどは利かないそうだ。

リアエンジンがゆえの高いルーフライン

他方、ヒルマンはインプをベースにしたハスキーの販売を、1967年に始めた。洒落たカントリーマンと異なり、商用車風のスクエアなボディにリアウインドウとシートが追加され、インプ・バンと呼んだ方がしっくり来るかもしれない。

そもそもハスキーは、商用バンだったコマー・インプの派生版。リアエンジンで低くない荷室の床面は、高いルーフラインで補われた。大きなミルク缶を、立てたまま運ぶことを可能にしていた。

ヒルマン・ハスキー(1967~1970年/英国仕様)
ヒルマン・ハスキー(1967~1970年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

4気筒エンジンはインプと同じ39ps仕様で、実用性だけでなく、運転の楽しさにも定評があった。「本当に走りは最高。扱いやすくて、クルマが自分で走ってくれるような感じもありますね」とオーナーのフランク・チーバーズ氏が話す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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