初代日産リーフとの意外な共通点 ポルシェ・カイエン・エレクトリックに採用された「パウチセル」技術とは

公開 : 2026.06.01 07:05

EV用バッテリーにはさまざまなタイプがありますが、ポルシェ・カイエンに採用されたリチウムイオンバッテリーは、初代日産リーフと同様にパウチ型セルで構成されています。その構造や生産工程について紹介します。

192個のパウチセルを使用

自動車技術の歴史において、リチウムイオンバッテリーほど急速に進化したものも珍しいだろう。今日、道路を走る多くのEVに使われている技術だ。

2013年に登場したテスラモデルSのバッテリーは、数千個もの『18650』という円筒形セルで構成されている。この名称は、各セルの直径18mm、長さ65mmという寸法に由来しており、形状は家庭用乾電池とさほど変わらない。

ポルシェ・カイエン・エレクトリック
ポルシェカイエン・エレクトリック

18650セルが単体で生成する電圧はわずか数ボルトに過ぎないが、これらを直列に接続していくことで、EVの駆動用バッテリーに必要な数百ボルトの電圧が得られる。並列に接続すると容量が増え、電流も増大する。18650セルは当時すでに業界標準のバッテリーであったため、採用は賢明な判断と言えるだろう。

他にもさまざまな形式のセルが存在する。その1つがパウチセルだ。初代日産リーフはパウチセルのバッテリーを採用しており、その点において、新型ポルシェ・カイエン・エレクトリックと共通点がある。

リーフは2010年に発売され、2年後には英国市場にも登場した。24kWhのバッテリー(48個のモジュールにそれぞれ4個ずつ、計192個のパウチセルで構成)は1回の充電で約110〜130kmの走行が可能だった。

カイエン・エレクトリックのバッテリーも、6個のモジュールにそれぞれ32個ずつ、計192個のパウチセルで構成されている。しかし、容量に関してはリーフよりもはるかに大きい。113kWhのバッテリーにより、600km以上の航続距離を実現している。

バッテリーの生産工程

こうした驚異的な性能を持つバッテリーは、どのように製造されているのだろうか。

ポルシェは、スロバキアのホルナ・ストレダにある「スマート・バッテリー・ショップ」で、欧州製のセルを用いてモジュールを組み立てている。セルは工場に搬入されると、モジュールへ組み込まれる。サプライヤーがモジュールに高電圧ケーブルと関連コネクタを取り付け、外部の請負業者が6個のモジュールを組み合わせて高電圧バッテリーパックを完成させる。

ポルシェ・カイエン・エレクトリック
ポルシェ・カイエン・エレクトリック

モジュールの組み立ては、静電気放電から部品を保護するための厳格な基準のもと、極めてクリーンな環境で行われる。パウチセルは検査の後、コネクタの位置を慎重に合わせながら積み重ねていく。

この積み重ねられたスタックはセルキャリアに挿入され、自動レーザー溶接によってセルタブ(コネクタ)の位置決めと接合が行われる。スタックの安定と保護のために発泡材が追加され、放熱を助けるためにセル間に熱伝導材が挿入される。

電気的・機能的・寸法の各種検査、絶縁測定、そして徹底的な目視検査を経て、モジュールは最終的なバッテリー組立を行う請負業者へ出荷される。各モジュールの生産データは記録され、ポルシェによれば年数が経過しても個々のモジュールを追跡可能だという。

最後に、車両への搭載に先立ち、ポルシェ独自の分析センターで性能試験を受ける。そこでは、バッテリーの耐久性と充電能力が重点的に評価されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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