三菱デリカ 米で「世界最大の文鎮」になる理由 メイン州でナンバー返納の大騒ぎ

公開 : 2021.12.30 07:05  更新 : 2022.03.25 18:48

人気の軽自動車を登録禁止とする州も

――デリカ以外で、同様に登録禁止になったものはありますか?

「これも州によって異なりますが、日本から来た軽自動車の中には米国の一部の州で登録ができなくなっています」

「ロードアイランド州では現在、25年ルールを経て合法的に登録されている軽自動車(乗用車/トラック/バンとも)の登録廃止を始めています」

「メイン州がデリカに対しておこなっているのと同じ行為です。他の州もこれに追随するのではないかという噂もあります」

「これらの指導の多くはAAMVA(米国自動車管理者協会)によるものだと思われます」

――一度登録したものを登録不可にするとは大変なことですよね?

「デリカオーナーたちは、みなとても怒っています。デリカを毎日の移動手段として使っていた人もいればキャンプやレクリエーションに使っていた人もいます」

「あるオーナーは弁護士に相談したところ、訴訟で解決する可能性は低いが、地元政府を通じてロビー活動をするのがいいだろうと言われたそうです」

「しかし、デリカの所有者はナンバープレートを外してメイン州に返納することを余儀なくされました」

「この件に関しては、Specialty Equipment Market Associationの一部であるSEMA Action Networkと連絡を取り合っています。彼らはこの問題を調べているところです」

具体的な理由ははっきりしないが、メイン州でデリカが登録できなくなっていることは事実である。

メイン州では登録禁止の理由を「安全性と排ガス」だと言っているが……具体的にどこがどのようにダメなのか? 明らかにされていない。

またメイン州では同じタイミングでもう1台、登録できなくなっているクルマがある。

公道を走れぬデリカ「世界最大の文鎮」

1台、登録できなくなっているクルマ。かつて米軍で使用されていた初代ハマーである。

2台の共通点は、いずれもオフロード走行に卓越した機能を持つクルマであることだが、このことが安全性に影響するとは思えない。

25年ルールで合法となった古いクルマの中には衝突安全性が大幅に劣るクルマも多数存在するだろう。

となると2車のもう1つの共通点であるディーゼルエンジンの排ガスが理由なのだろうか?

なお、アンディさんはメイン州から遠く離れたオレゴン州ポートランドに在住しているため愛車のデリカが「文鎮」になることはない。

アンディさんのフェイスブックにはオレゴンの美しい大自然を背景に大切にメンテナンスされ、いきいきとしたデリカの写真が多数掲載されている。

古いデリカを維持していくためのパーツについてもほぼほぼ入手ができているそうだ。

「わたしたちのデリカは、免許、登録、保険が完備されています。デリカは日常の足ではなく、キャンプや冒険のためのレクリエーションカーとして使っています」

「わたしはこの車をここアメリカで問題なく運転し、所有することができています。大きめのタイヤ、少し高めのサスペンションシステム、ルーフラック、オフロードバンパー、ウィンチ、ライトなど、キャンプやオーバーランディングのために装備されています」

「部品は手に入りにくいものとそうでないものがあります。例えば、ブレーキはモンテロ(パジェロ)と同じです」

「オイルフィルターはこちらで調達できます。そのほかの部品は他の国から調達する必要があります」

「カナダにも米国のような輸入ルールがあり、25年ではなく15年で解禁となるためJDM車は米国より10年長く存在しています。したがって、そこには多くの部品会社が存在し、わたしのデリカのアイテムはカナダのブリティッシュコロンビア州から入手することができます」

「その他の部品は日本か、オーストラリアの会社から入手しています。インターネットが発達したおかげで、数年前に比べればずっと簡単になりましたね」

メイン州では世界最大の「文鎮」になりつつあるデリカだが、明確な理由はまだはっきりとわかっていない。

そしてもう1つ、軽自動車の登録禁止についても気になるところだ。引き続き、関係各所に取材をして真相を追求し記事として伝えていきたい。 

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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