ディーゼルも有能な選択肢 メルセデス・ベンツCクラス 220d エステートへ試乗 後編

公開 : 2022.04.13 08:26  更新 : 2022.04.19 22:16

新型Cクラスで、ステーションワゴンのディーゼル。旧来的な組み合わせでも、まだ訴求力は高いと英国編集部は評価します。

静かで強力で滑らかなパワートレイン

今回試乗した新型メルセデス・ベンツCクラスは、C 220dのステーションワゴン。フロントに搭載される200psの4気筒ディーゼル・ターボエンジンは、とても静かだ。

寒い日の始動直後には、カラカラといかにもなノイズが響いてくるが、一度温まってしまえばボリュームは小さくなる。滑らかに回転し、車内へは殆どノイズが響いてこない。

メルセデス・ベンツCクラス C 220d スポーツ・エステート(ステーションワゴン/英国仕様)
メルセデス・ベンツCクラス C 220d スポーツ・エステート(ステーションワゴン/英国仕様)

低回転域からパワフルで、中回転域のトルクは印象的。最大トルクは、1800rpmで44.8kg-mを発揮する。胸のすくような加速も楽しめる。

トルクコンバーター式の9速ATは、とても自然に変速を繰り返し、スムーズなエンジンの印象を高めてくれる。小気味良く、タイミング良くギアを選び、気を揉むようなこともない。

Cクラスは、3代目から4代目への進化が目覚ましかった。一方でこの5代目は、4代目の大改良版といえるもの。大幅な手直しが施されているものの、先代と同じMLAプラットフォームを基礎としている。

サスペンションの構成も、4代目と大きな違いはない。フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式を採用している。

乗り心地は悪くない。4代目は、もう少し改善の余地があると思わせるものだった。スポーティなドライブモードへ切り替えると、荒れた路面で明確に振動が伝わってくるが、不快に感じるほどの硬さはない。

驚くほど機敏なシャシーに不足な実用性

路面のいなし方は洗練されたものといえ、英国郊外の流れの速い幹線道を快適に移動できる。カーブが気持ちよく続くような区間では、ダイレクトで正確なステアリングを活かし、驚くほど機敏なシャシーを味わうことも許してくれる。

BMW 3シリーズ・ツーリングのような、肉厚な手応えのような感覚は薄い。しかし、メルセデスAMGが手掛ける高性能なCクラスにも通じる、積極性を感じることができる。

メルセデス・ベンツCクラス C 220d スポーツ・エステート(ステーションワゴン/英国仕様)
メルセデス・ベンツCクラス C 220d スポーツ・エステート(ステーションワゴン/英国仕様)

今回のCクラスの試乗では、同僚の大人3名も同乗することになった。その彼らも、静かで快適な走行フィーリングと、ゆとりのある車内空間には感心していた。

リアシート側の広さは、膝周りで21mm、肩周りで13mm、先代から拡大している。身長が180cmを超えるような体格の大人でも、長距離移動を不満なく過ごせると思う。

荷室容量は490Lあり、こちらも不足ない大きさ。リアシートを折りたためば、1510Lまで拡張することもできる。Dセグメントのステーションワゴンとして、実用性に抜かりはないといえる。

ドイツの競合モデルと比較すると、BMW 3シリーズ・ツーリングの荷室はリアシートを起こした状態で500L、折りたたんで1510Lある。アウディA4 アバントは495Lと1495Lだから、かなり拮抗している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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