歴代の最高を融合 ランボルギーニ・アヴェンタドール LP780-4 ウルティメ ラストは780ps

公開 : 2022.04.15 08:25  更新 : 2023.04.21 09:32

感覚的な訴求力が強くダイレクト

回転数が6000rpmを超えた辺りから、明確にパワー感が高まる。ターボで加給されるユニットと比較して、自然吸気はメカニカルで生々しいから感覚的な訴求力が強い。フェラーリSF90 ストラダーレのハイブリッドが生む、鋭いアクセルレスポンス以上に。

オーバースクエアのV型12気筒は、ドライバーとダイレクト。ほかに、一切の混ぜものはない。

ランボルギーニ・アヴェンタドール LP780-4 ウルティメ(欧州仕様)
ランボルギーニアヴェンタドール LP780-4 ウルティメ(欧州仕様)

シフトアップのフィーリングには、余り魅力を感じないかもしれない。7速セミATは、次のギアを選ぶのに少しの時間を必要とする。変速の度に、トルクの流れが絶たれる。

クラッチの接続と同時に重心が移動し、リズムが乱され、ドライバーの自信が薄れる。だが、ウルティメにドラマチックさを加えてもいる。

デュアルクラッチATを採用するであろう、アヴェンタドールの後継モデルは2023年に待っている。進化するライバルとの差を埋めるように、より上質なシートなど、付加的な要素に頼っている部分があることも確かだ。

それでも、ウルティメのドライビングに強く陶酔してしまう。次期モデルは、ドライバーにひと回り小さく感じさせる扱いやすさが欲しいと思うものの、SやSVJよりは近づきやすい。

ボディサイズを理解すれば、リアタイヤ寄りのコーナリングバランスを味わえるようになる。ステアリングホイールは繊細で、重み付けは自然。乗り心地はしなやか。シャシーの能力を探りたいと思えてくる。

カリスマ的な12気筒のラストバージョン

過去最高のアヴェンタドール、ウルティメのオーナーになれるのは世界で350名のみ。ロードスター版にも、250人が名乗り出ることができる。

スーパーカーとして、ドライバーに求める制限もゼロではない。とはいえ、アヴェンタドールの記念すべきラストバージョンに、それを気にする人はないだろう。

ランボルギーニ・アヴェンタドール LP780-4 ウルティメ(欧州仕様)
ランボルギーニ・アヴェンタドール LP780-4 ウルティメ(欧州仕様)

来年には、ランボルギーニのフラッグシップ・スーパーカーは、ゼロエミッション・ゾーンでも運転できるようになる。自律運転の能力も、獲得してくるはず。

そう考えた時、カリスマ的な自然吸気のV型12気筒エンジンへ、改めて強く惹かれてしまう。癖のあるドライブトレインすら、魅力に感じられてくる。

完璧ではないかもしれないし、欲求不満が生じるかもしれない。だとしても、アヴェンタドールの最後を締めくくるウルティメは、比類なく特別な存在だ。

ランボルギーニ・アヴェンタドール LP780-4 ウルティメ(欧州仕様)のスペック

英国価格:34万4900ポンド(約5518万円)
全長:4780mm(標準アヴェンタドール)
全幅:2030mm(標準アヴェンタドール)
全高:1136mm(標準アヴェンタドール)
最高速度:355km/h
0-97km/h加速:2.8秒
燃費:4.6km/L
CO2排出量:442g/km
乾燥重量:1550kg
パワートレイン:V型12気筒6498cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:780ps/8500rpm
最大トルク:73.2kg-m/6400rpm
ギアボックス:7速セミ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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