払い下げパトカーがお買い得? 海外で中古の警察車両が売れているワケ

公開 : 2022.06.14 19:25

パトカーだったBMW X5に乗ってみた

エクス・ポリスカー・センターを訪れた際、2018年式BMW X5 30d SE Auto xDriveに試乗させてもらった。

25万9000km走行しているが、その半分しか走っていないように感じられる。インテリアは手入れが必要だが、パーキングブレーキのスイッチが割れていることを除けば、良好な状態と言える。

内装はややくたびれているが、装甲にはまったく問題ない。ゴージャスとは言い難いが、「足」として使うならいいかも?
内装はややくたびれているが、装甲にはまったく問題ない。ゴージャスとは言い難いが、「足」として使うならいいかも?

車両の健康状態を示すインジケーターには、最後に大きな整備を受けたのは15万6000kmと表示されている。販売店では、警察はサービスコンピュータをリセットしないため、整備記録の証明になるとしている(最近、タイミングチェーンが交換されているようだ)。

希望価格は1万9995ポンド(約327万円)とのこと。他と比較をしようにも、同じようなX5を見つけるのは難しい。装備の充実した2018年式のMスポーツなら、これの半分以下の走行距離でたくさん見つかるが、約1万2000ポンド(約200万円)以上高くなってしまう。信頼性の高い「アシ車」として購入するなら、中古のパトカーはお手頃と言えるかもしれない。

購入時に注意すべき点 ホントにお得なの?

ウェスト・ミッドランド警察の車両管理者、ゲイリー・マレットは、「パトカーだった車両を買うときは、しっかり点検してください」と注意を促している。

「おそらく頻繁に整備されているのでしょうが、それでもパトカーとして酷使されてきたことに変わりはありません。整備履歴と全体的な状態を確認し、アクセサリーの穴埋めや塗装の具合に注意を払ったら、人が頻繁に触れるポイントをチェックします」

払い下げの際、すべての装備が取り外されるわけではない。犬用ゲージなど、悪用の心配が無さそうなものはそのまま残っていることも。
払い下げの際、すべての装備が取り外されるわけではない。犬用ゲージなど、悪用の心配が無さそうなものはそのまま残っていることも。

「例えば、ドアは何度も開け閉めするし、シートにはさまざまな体型の人が座る。シートベルトやスイッチ類は何度も使用されているはずです。インフォテインメント・システムが機能するかどうか、ダッシュボードやその周辺に見苦しい取り付け穴がないかどうかも確認しましょう」

価格に関しては、走行距離が少なくても一般の中古車より高くなるというわけではない。例えば、2010年式三菱ショーグン3.2 DI-DC Equippe LWB(走行距離10万6000km)の場合、他の店舗で見つけた同年式、2オーナーの一般車が14万6000km、1万950ポンド(約180万円)だったのに対し、1000ポンド安く販売されている。

もちろん、走行距離の多いものを選べば、さらに安くなる。例えば、2018年式18万5000kmのヴォグゾール・インシグニア2.0 Turbo D Design Sports Tourerは8995ポンド(約147万円)で、他店舗のワンオーナー11万kmのインシグニアより約2000ポンド安いのだ。とはいえ、こちらの年式は若干新しく、ボディカラーも良い。何事もそうだが、何に対してお金を払うか決めるのは自分だ……。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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