1953年のル・マン優勝マシンを復刻 ジャガーCタイプ・コンティニュエーションへ試乗

公開 : 2022.07.15 08:25

新車のようにタイトでパワフル

魅力にも不足はないが、少し不自然な印象もなくはない。それは、隅々まで新しいから。クラシックカーの場合は、高額をつぎ込んでレストアされていても、何かしら年代物の部品が残っていたりする。だが、このジャガーには古いと感じる部分が一切ない。

一見するとカタチが古い部品も、すべて新品。細部に至るまで。そしてそれは、運転した印象にも反映している。新車のようにタイトでパワフルで、ガタガタと余計な振動音などは発しない。凛としている。

ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション
ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション

サウンドは、最新モデルのように静かではない。エグゾーストノートは激しく、時々アフターファイヤーも混ざる。勢いよくキャブレターが空気を吸い込み、ツインカムの6気筒エンジンは、回転上昇とともにクレッシェンドしていく。パワーを放出しながら。

それでいて当時のジャガーらしく、絹のように滑らかに回る。時々、アクセルレスポンスがつまずく。キャブレターが載っていることを、思い出させる。

運転席に座って、すぐに気安く乗れるクルマではない。クラッチは突然繋がるし、4速マニュアルのトランスミッションには、ギアの回転数を合わせてくれるシンクロメッシュが備わらない。ある程度の慣れが必要となる。

ステアリングラックはラック&ピニオン式で、オリジナルのXK120へ組まれるボールナット式より感触が良い。ステアリングホイールの直径はより自然で、軽量なCタイプのボディと相まって、路面やタイヤの状況を把握しやすい。

眺めているだけでも満たしてくれる

筆者には難しいが、軽妙な四輪ドリフトも可能だという。精度の高いステアリングと、アクセル操作でコーナリングラインを絞っていける、シャシーバランスを備えている。

テストコースのストレートでは、160km/h以上まで加速させることができたが、印象的なほど走りは安定していた。操作をマスターすれば、コーナーも素早く処理できる。

ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション
ジャガー・クラシックCタイプ・コンティニュエーション

ちなみに、このCタイプ・コンティニュエーションは、広いサーキットで楽しむのがベスト。1953年のマシンが意図された場所というだけでなく、公道を走ることが許されていないためだ。

驚くほど高価なジャガーは、サーキットで開かれるヒストリック・イベントやレースで、素晴らしい喜びを与えてくれるに違いない。オリジナルが70年前でありながら、真新しく高品質な仕上がりは、眺めているだけでも多くの人を満たしてくれるはず。

ジャガー・クラシック Cタイプ・コンティニュエーションのスペック

英国価格:180万ポンド(約3億60万円)
全長:3988mm(オリジナルCタイプ)
全幅:1638mm(オリジナルCタイプ)
全高:1080mm(オリジナルCタイプ)
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.0秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1063kg
パワートレイン:直列6気筒3442cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:218ps/5250rpm
最大トルク:30.3kg-m/4250rpm
ギアボックス:4速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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