一番高いポルシェは? 2023年前半オークションで高額落札されたポルシェ トップ5

公開 : 2023.06.04 12:10

世界のエンスージァストを魅了し続けるブランドといえばポルシェ。2023年の1月から4月に世界で開かれたコレクターズカー・オークションにおいて、高額で落札されたポルシェのトップ5をご紹介します。

【第5位】 1987年 ポルシェ 959コンフォート

ポルシェは356や911をベースとして、レースに向けた数々の派生型を送り出してきた。1981年のFIA新車両規定で設けられたグループBカテゴリーの公認を取得するため、初の専用ホモロゲート・ロードカーとして1985年に登場したのが「959」である。

1980年代のスーパースポーツとして世界中から注目を集め、オーダーが集中したことから最終的にグループB義務生産台数の200台を大きく上回る292台が生産された。

【第5位】 1987年 ポルシェ 959コンフォート
【第5位】 1987年 ポルシェ 959コンフォート    Loic Kernen/RMサザビーズ

アールキュリアル・レトロモビル・オークションに出品されたポルシェ 959はコンフォート仕様で、パールホワイトの外装にカルティエ・レッドのレザーで仕上げられた内装という特別オーダーの1台だった。

ドイツのオーナーに新車でデリバリーされて以来20年間日常的に使われ、1996年10月の時点で8.5万kmを走行している。

2007年にイタリアのブレッシアに住むオーナーの許に移り、その後初代オーナーをよく知るモナコ在住の愛好家が購入する。

2015年にはブレッシアのポルシェ・ディーラーで総額1万7839ユーロ(約242万円)の重整備を実施。以来ほとんど運転されることなく、現在オドメーターは9万4682kmを示す。

ここ1年のオークションの結果を見ると、低走行でコンディションの良いポルシェ 959は、160-180万ドル、邦貨にして2億円以上で落札されている。

5位に入った959は、走行距離が延びていたことから103万704ユーロ(約1億4726万円)と、最近の相場から見ると2/3程度となる額で落札された。

走行距離こそ延びているが、魅力的なカラー・コンビネーションで、きちんと整備が施されているだけに、走りを楽しむコレクターにはお買い得といえる959となった。

【第4位】 1991年 トラスト ポルシェ 962C(962-166)

959に続いて4位に入ったのは、全日本スポーツカー選手権(JSPC)にトラスト・チームから参戦していたグループCカーの「ポルシェ 962C」だった。

現在のWECに相当するWSPCやアメリカのIMSA GTPなどのスポーツカー耐久レース向けに、956の進化型として1985年に送り出されたのがポルシェ 962だった。

【第4位】 1991年 トラスト ポルシェ 962C(962-166)
【第4位】 1991年 トラスト ポルシェ 962C(962-166)    Luuk Van Kaathoven/アールキュリアル

ポルシェ 962は高い戦闘力と優れた耐久性を備え、ロスマンズ・カラーで彩られたポルシェ・ワークスカーはグループCレースを席巻。カスタマー仕様も販売され、レーシング・マシンながら合計93台が製作されている。

アールキュリアル・レトロモビル・オークションに出品されたポルシェ 962Cは、1991年の全日本スポーツプロトタイプ選手権(JSPC)に参戦するために、トラスト・レーシング・チームが新車で購入したシャシーナンバー962-166そのもの。

スティーブン・アンドスカーとジョージ・フーシェにステアリングが託され、JSPCではプライベーターながら健闘し、日産トヨタのワークス勢に続くシリーズ5位の座を獲得した。

また日本で行われた世界スポーツカー選手権にも挑んでいる。開幕戦の鈴鹿はプジョーやザウバー・メルセデスなどの強豪を相手にアンドスカーとジョージ・フーシェのドライブで総合5位、最終戦のオートポリスでは総合8位入賞を果たしている。

962-166は、日本でのレース活動終了後にドイツに戻りオーバーホールが施されている。その後ベルギーの愛好家が入手し、ヒストリックカー・レースで第2の人生を歩む。

ラグナセカでのロレックス・モントレー・モータースポーツ・リユニオンには複数回挑み、欧州で行われているグループCレーシング・シリーズにも積極的に参戦してきた。

欧州で開催されるグループCレーシング・シリーズは近年人気を集めており、隔年で開かれるルマン・クラシックにも参加できることからグループCカーは値を上げている。

今回出品されたポルシェ 962Cは、現役時にクラッシュしておらず、レーシング・マシンとしては珍しくオリジナル度が極めて高いことが特徴だ。またすぐ参戦できる状態に保たれていることも美点だ。

事前に主催者が発表した予想落札額は90-130万ユーロだった。最終的に107万280ユーロ(約1億5234万円)とグループCカーの人気を裏付ける額で落札された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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