ケータハム・スーパーセブン160
公開 : 2014.05.26 18:18
直列3気筒は直列4気筒よりも振動が大きく問題になる。その理路どおり鼻先のエンジンは身震いする。だがこれまでの直4に比べて排気量が半分以下のせいか、振動感は大差ない雰囲気。それよりも気になるのが、ブリップ時の反応に一瞬の遅れが見られること。縦置き化した際に吸気経路が長くなったせいもあるのだろうが、これがシフトダウン時の俊敏をいくらか殺いでいる感じである。ただし、シフト操作のほうも機敏とは言いかねるからこれでいいのかもしれない。エブリイのレバーを切ってインストールしたというそれは操作感がやや重くて渋いのだ。
操縦性は、記憶にあるケント搭載車やローバーK搭載車のセブンとは微差があった。
まず、ハナが軽い。FR車にとってそれは正義であり、ターボ直3セブンに愛好家が注目した所以であるのだが、利得ばかりではない。いかなるときもそれなりの前輪荷重が担保されていて、操舵で自在にハナを動かせるのがFR車の楽なところなのだが、直3セブンはハナが軽すぎるきらいがある。場合によってはミドやRRのように、旋回初期までブレーキを残してやって前輪荷重を意図的に増しておく必要があるのだ。訊けば開発当初、エンジン搭載位置はもっと後ろだったという。ところが、それでは前が軽すぎて、エンジン前端がノーズカウル直後に来る現在の位置まで前進させたのだそうだ。
そうしてブレーキを残すと、歴代スーパーセブンは制動力の前後バランスがリヤ寄りに設えられていて、容易にブレーキングドリフトに持ち込めたのだが、この直3セブンでは配分がフロント寄りになっていて、リヤは落ち着き払ったまま。ゆえに前述の進入方法との相性が合致している。前ディスクと後ドラムのブレーキもエブリイそのままなので、開発担当者は当初、前後バランスを調整することも想定していたそうだが、実際にはその必要がなかったとのことだ。セッティング巧者で知られる英国人のその判断は正しいと思う。
ちなみに件の前荷重依存性はタイヤのせいもあるのではないかと思う。155/65R14サイズとなる直3セブンの純正装着タイヤはエイボンZT5という銘柄。これはA/Bセグメントの廉価車に履かせるような所謂エコタイヤ。それゆえグリップレベルも低いのだが、それ自体は悪くない。細長い車体を斜めに滑らせつつ曲がって行くようなスーパーセブン独特の旋回機動を、低いスピード域から愉しむことができるからだ。だが前車軸荷重600kg以上を想定して設計されたゆえ、それが半分以下になる直3セブンでは意識的にフロントを押さえつけてやらないと性能が有効レンジに入ってこない印象があるのだ。
確かに、このスーパーセブン160は、あらゆる機動が軽快だ。だが、自家薬籠中のものにするには、上記のように操縦にちょっとしたコツが要る。価格と税金の廉さで注目されている軽セブンだが、意外に中級者向けなのかもしれないと思った。
(文・沢村慎太郎 写真・花村英典)
ケータハム・スーパーセブン160
| 価格 | 394.2万円 |
| 0-100km/h | 6.9秒 |
| 最高速度 | 160km/h |
| 燃費 | 20.4km/ℓ |
| CO₂排出量 | 114g/km |
| 車両重量 | 490kg |
| エンジン形式 | 直3DOHCターボ, 658cc |
| エンジン配置 | フロント縦置き |
| 駆動方式 | 後輪駆動 |
| 最高出力 | 80ps/5500rpm |
| 最大最大トルク | 10.9kg-m/3400rpm |
| 馬力荷重比 | 163ps/t |
| 比出力 | 122ps/ℓ |
| 圧縮比 | na |
| 変速機 | 5段M/T |
| 全長 | 3100mm |
| 全幅 | 1470mm |
| 全高 | 1090mm |
| ホイールベース | 2225mm |
| 燃料タンク容量 | 36ℓ |
| 荷室容量 | na |
| サスペンション | (前)ダブルウィッシュボーン |
| (後)マルチリンク | |
| ブレーキ | (前)ディスク |
| (後)ドラム | |
| タイヤ | 155/65R14 |


