キャデラックCTSエレガンス

公開 : 2014.04.26 17:50  更新 : 2017.05.29 18:32

1465mmという新型CTSの車高は標準的な寸法だが、ボンネットとトランクリッドの位置が高めに設えられているため、全体にマッシブな印象を受ける。おおよそ、直4エンジン搭載車には見えない立派なスタイリングといえるが、いざボンネットを開けてみるとチョコンと4気筒が収まっているあたりがイマドキ風である。一方インテリアは黒基調の革シートのみで、少し赤いアクセントが入れられる仕様がある程度なので、全体的に暗くてシックで大人のセダンという印象が強い。もちろんスペース的にも21世紀のキャデラックの定石どおり、わりとタイトに設えられている。

新型CTSの走りはなるほど、いかにも2014年製らしい抵抗感のなさに溢れている。ネットリ感が省かれた電子制御のパワーステアリングやエンジンの盛り上がりを感じさせない6段A/Tの素早いギヤ捌き、常に車両の姿勢をフラットに保つマグネティックライドコントロールや転がり抵抗の低いタイヤ、そしてノイズを相殺し、音の心地よさを演出するBOSEのアクティブサウンドマネジメントといった装備が“最新フィール”を作り出しているのである。そして先代よりニュルブルクリンク北コースで6秒速い! という売り文句はともかくとして、体感スピードよりもメーターが表示するスピードの方が確実に速いというあたりも内外装の見た目の立派さと上手くシンクロしていると思う。

だがそのフィーリングと、日本人が考えるアメリカらしさとかキャデラックらしさというキーワードが符合するかといえば、それは別問題ではないだろうか。少なくとも、普段ドイツ製のEセグメントをアシにしており、仕事でも最新のヨーロッパ車に乗ることが多い筆者にしてみれば、キャデラックCTSの過不足ないドライブフィールはヨーロッパに傾倒した無国籍なもの、に思えてしまう。

デビュー以来キャデラックCTSが受け入れられてきたのは「既存のキャデラックは大き過ぎる」と感じていた市場である。そういった国においては、Eセグど真ん中のCTSはまさに“ちょうどいい大きさのキャディ”だったわけである。だが日本市場においては、昔から大きさが問題視されたことはなかった。キャデラックを指名するカスタマーは大きくて象徴的なアメリカ車を望んでいたのだから。

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