LEVC TX 詳細データテスト 最新ロンドンタクシー 乗り心地は極上 発電用エンジンは洗練不足

公開 : 2023.09.02 20:25  更新 : 2023.10.24 19:47

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

TXのハンドリングは不思議なくらい上々だ。長いホイールベースと後輪駆動レイアウトは、根本的に走りの強固な土台になるが、それにしてもだ。市街地から出ると、すばらしいとは言わないまでも、カントリーロードを流すのにどうにか取り組めるだろう。多少はロールに抑えの効かないところがあり、ノーズヘヴィなコーナリングバランスを見せるが、このボディを見れば予想できる範囲内だ。

おそらく、シンプルな機械面の仕立てが助けになっている。サスペンションはパッシブで、ステアリングは電動油圧アシストで、ボディ構造は強固だ。そのうえステアリングは、中間以上まで切っても、60度ほどの前輪舵角を実現するアッカーマン式のエクステンションアームが動きを破綻させることはない。

アッカーマン式リンケージの恩恵で、狭い市街地で見せる取り回し性は無双状態。ただし、ドライビングプレジャーを期待するのは筋違いだ。
アッカーマン式リンケージの恩恵で、狭い市街地で見せる取り回し性は無双状態。ただし、ドライビングプレジャーを期待するのは筋違いだ。    JOHN BRADSHAW

LEVCの努力は、特徴の薄いクロスオーバーより、その点に重点を置いている。けれども、1937年のオースティンについても言ったことだが、ドライビングプレジャーを求めて選ぶクルマではない。

スタビリティは良好。極端な運転をしたときでさえ、横転しそうな兆候はほとんどない感じだ。フルパワーをかけると、害のない感じのアンダーステアを生じ、控えめなグリップは限界を見せる。スライドもするが、きわめてわずかだ。

言及しておくべきなのは、このクルマのエンジニア陣が、現在はポールスター5の仕上げに手を取られているということ。そして、忘れてはいけないのは取り回しが想像の範疇を飛び越えるほどいいということだ。その感覚は、まるでコインの上を周回のではないかと思ってしまうほどなのだから。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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