LEVC TX 詳細データテスト 最新ロンドンタクシー 乗り心地は極上 発電用エンジンは洗練不足

公開 : 2023.09.02 20:25  更新 : 2023.10.24 19:47

結論 ★★★★★★★★☆☆

LEVCは唯一のロンドンタクシーメーカーではないが、現在それを説得力あるかたちで進めているメーカーはほかにない。

2018年から、すべてのロンドンタクシーはゼロエミッション走行できる能力が求められるようになった。ジーリー傘下のLEVCは、そのためにレンジエクステンダーという選択肢をとった。このアプローチ、乗用車分野では避けられがちだが、タクシーには最適と言える。というのも、電動走行に、コンディションを問わない信頼性が伴うからだ。ただし、効率はより改善できたはずだが。

結論:タクシー会社の社長、御一考あれ。おそらく、世界一完璧なタクシー用車両だ。
結論:タクシー会社の社長、御一考あれ。おそらく、世界一完璧なタクシー用車両だ。    JOHN BRADSHAW

今回のTXは、もっとも洗練されたクルマではない。それは主に、発電用エンジンに原因がある。しかし、全体を見れば、エンジニアリング的にみごとな物件で、結果として、このクルマのリズムがつかめれば、運転に満足できると言えるものになっている。

質感は業務用車両のそれだが、それでも悪くはない。実用面ではほとんど不足はないが、唯一不満を挙げるなら、ロンドン市街地で使うにはボディがかなり大きいということくらいだろうか。そのぶん乗客は、一般的なセダンにはない広大なガラスハウスからの眺めとまずまずのプライバシーが得られるのだが。

初期の目的で使われれば、これはかつてのディーゼルのような汚染をもたらさないロンドンタクシーだ。しかし、ドライバーに不便を強いるような妥協を求めるものではない。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

LEVCからテスト車を借り出してきたとき、ロビーには高級仕様のTXが置いてあった。外観は普通だが、内装は全面的に豪華な仕立てが施され、それなりに裕福なロンドンっ子が、お忍びで移動したいときに喜びそうなものに仕立てられていた。メリットが十分に見出せるクルマだ。

マット・ソーンダース

最上位仕様のTXはカーペット敷きだが、ほとんど全てのタクシーはビニール敷きを選択する。黒い塗装もタクシーの伝統だが、これも安価だから。もっとも、ブラックキャブの愛称はあるものの、ホワイトやブルー、深紫やレッドも設定されている。

オプション追加のアドバイス

プラグインタクシーへの助成金を考えれば、今回のビスタ・コンフォートプラス仕様を選ばない手はない。リアのカメラやセンサー、フルオプションを備える。これに含まれるハックニー+パッケージは、手動燃料カットスイッチやリアバンパーのプレート台座もセットだ。

改善してほしいポイント

・最大充電速度は引き上げたいところだ。もはや50kWでは急速とは言い難い。また、現実的な一日分の走行距離は130kmくらいだろうから、航続距離もそれくらいはほしい。
・発電用エンジンは、もっと洗練させてもらいたい。
・運転席は悪くないが、それでも頭をもっとサポートしてくれるエルゴノミクスを高めたデザインであれば、よりよいものになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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