ついに国内試乗がかなったエキシージS。ロータス・ファンならずとも、スポーツカーに惹かれるエンスージアストなら、そのサイズとコストで気になる存在に違いない。パフォーマンスは同じV6を搭載するエヴォーラSの延長線上か……と試乗前には予測していたが、それはいい意味で裏切られた。

高く幅広いサイドシルを跨ぎコクピットに入る。ヒップポイントの低いシートに腰を落とすと、ああエキシージのタイト感だと納得する。同時に現代の感覚からすれば質素といえるインパネまわりに、なぜか懐かしさと安堵感を覚えた。

キーをひと捻りすると、背後のV6が大きく“ひと吠え”する演出の直後に安定したアイドリングに落ち着いた。V6の甲高いサウンドが流れてくると、コクピットの雰囲気はもはやエキシージではない、ひとクラス上の存在感だ。

ドライバー目線からは、左右に間隔が広がったフロントフェンダーの峰で、ボディの幅広さを意識させられる。エキシージ・カップ260に対して全幅は80mmもワイドな1800mm、全長は280mm伸びて4080mm、ホイールベースも70mm延びて2370mmになっているのだ。ただし1130mmの全高は変わらない。タイトなコクピットはコンパクトスポーツそのままで、ボディだけが大型化したため見切り感などに感覚のずれが生じないかを気にしていたが、前後のフェンダーフレアでミラー越しの車幅感をつかみやすく、すぐに慣れた。

コクッと心地いいテンションで入るクロスレシオ化された6段M/Tのシフトレバーを左上の1速に入れ、ジワッとクラッチミートする。3.5ℓが持つ余裕の低速トルクが難なく車体を押し出す。ハロップ社製過給器の支援で得られる350ps/40.8kgmの高出力は、エヴォーラSとまったく同値だ。しかし、1180kgとこのクラスでは軽量なだけに右足のひと踏みによる車速のノリは鋭く、力強い回転の盛り上がりとともに強烈な加速Gが襲いかかる。