マイルドになったのにワイルド? これぞSAC代表 BMW X6Mコンペティション

公開 : 2023.10.27 20:25

塊感で納得 SUVじゃなくSAC

走り出した当初マイルドに感じられたのはシャシー・セッティングがコンフォートだったから。アダプティブMサスペンション・プロフェッショナルの「コンフォート」は絶妙で、X6Mらしい引き締まった感じを残しながら不快な突き上げだけを消し去ってくれる。

X6Mコンペティションの走りを手短に表現するならば「塊感が凄い」ということに尽きる。剛性感の高いボディを「金属の塊から削り出した」と表現することがあるが、今回はそれとはちょっと違う。ひとつひとつのパーツの締結具合が強く、アソビやガタ、振動の類が少しもないことによる「塊感」なのである。

BMW X6Mコンペティション
BMW X6Mコンペティション

モーターのアシストを受け、よりシームレスになっているはずの625psは、2.4トンの車重を容易に相殺できる。手応えが重いステアリングとタイヤの結び付きもダイレクト感が高いので、当たり前のようにペースが上がってしまう。X6Mコンペは、4駆のスーパーカーをドライブしている時と同じような無敵感をドライバーに与えてくれるのだ。

いくぶんマイルドになった立ち居振る舞いと、相変わらずワイルドな走りが、お互いの領域を侵すことなく共存している。

BMWはX5がデビューした際に「SUVではなくSAV!」と宣言し、X6ではSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)という言葉を植え付けようとしたが、その試みは決して成功しているとは言い難い。

だが3代目後期のX6Mコンペティションはスーパースポーツの領域を侵す、まさにSACを名乗る資格がある1台だと感じた。

BMW X6Mコンペティションのスペック

価格:2012万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4955×2020×1695mm
最高速度:-
0-100km/h加速:3.9秒
燃料消費率:7.8km/L
CO2排出量:-
車両重量:2400kg
パワートレイン:V型8気筒DOHC4394ccガソリン・ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:625ps/6000rpm
最大トルク:76.5kg-m/1800-5500rpm
電気モーター最高出力:12ps/2000rpm
電気モーター最大トルク:20.4kg-m/0-300rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤ:295/35R21(フロント)315/30R22(リア)

BMW X6Mコンペティション
BMW X6Mコンペティション

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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