ボルボはEVで乗るべきクルマ?EX30に乗って考えた踊り場の話(後編)【日本版編集長コラム#57】

公開 : 2025.11.24 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第57回は『ボルボEX30』話、その後編です。

LFPバッテリーを搭載するエントリーモデル

ボルボのコンパクトBEVである『EX30』は現在、日本で5モデル展開されている。そのうち前後にモーターを搭載するAWD、『EX30ウルトラ・ツインモーター・パフォーマンス』に試乗したというのが前回の話。

今回はその試乗を通じて気になった、LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを搭載するエントリーモデルに1週間ほど乗ることができた話をしたい。

今回試乗した『ボルボEX30プラス・シングルモーター』。
今回試乗した『ボルボEX30プラス・シングルモーター』。    平井大介

LFPバッテリーはレアメタルを使用せずリン酸鉄を使用するのが特徴で、航続距離は短くなるが安価に製造できるメリットがある。今回試乗した『EX30プラス・シングルモーター』も航続距離は390kmと、『EX30プラス・シングルモーター・エクステンデッドレンジ』の560kmから大幅に低下しているが、価格も539万円→479万円とかなりリーズナブルになっている。

ここで参考までに両車のスペックで、主に違う部分だけ確認しておこう。

EX30プラス・シングルモーター・エクステンデッドレンジ
車両重量:1760kg 一充電走行距離:560km 交流電力量消費率:143Wh/km 総電力量:69kWh タイヤ:245/45R19 価格:539万円

EX30プラス・シングルモーター
車両重量:1770kg 一充電走行距離:390km 交流電力量消費率:150Wh/km 総電力量:51kWh タイヤ:225/55R18 価格:479万円

この季節の実用航続距離

さて、都内の駐車場から借り出した時のバッテリー残量は97%で、航続距離は288kmと表示されていた。

乗り込んで最初に気がついたのは、パワーシートがないこと。シートヒーターとステアリングヒーターはオプション装着されていたが、そもそもEX30にはシンプルな『プラス』と装備が充実している『ウルトラ』の2グレードがあり、これはバッテリーの違いではなくあくまでグレードによるものだ。

タイヤサイズは225/55R18と、他のグレードより1インチ小さくなっている。
タイヤサイズは225/55R18と、他のグレードより1インチ小さくなっている。    平井大介

この日は都内で打ち合わせや取材を行い、夕方に静岡県東部の自宅まで戻るスケジュールだったが、金曜日で天候は雨。しかも東名高速道路の集中工事も重なり、渋滞はかなり酷い状態だった。ということで、途中車内での休憩もありつつ150kmほど走行したところ、バッテリーは残り16%、航続距離は残り51kmまで減っていた。

自宅では3kWで普通充電を行ったが、当然のことながら100%になるまで12時間以上を要した。ちなみに都内に戻る際も同じような減り方で、この季節の実用航続距離は300kmくらいと思われる。充電なしの長距離移動は、余裕を見て片道100kmくらいまでが現実的かもしれない。

あとスペック面の話をすると、EX30は全高1550mmに収まっているため機械式駐車場に収まることが強みとなっている。ところが、都内で古い機械の有料駐車場に停めようとしたところ、そこは車重1700kgまでとお断りを受けてしまった。

これは発想になかったため驚いたが、そういったケースがあることは覚えておいたほうがいいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

日本版編集長コラムの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事