BMW 3シリーズ E21型とG20型(2) 違う見た目に秘めた特長 半世紀磨き込んだ賜物

公開 : 2025.12.05 17:50

半世紀に多様な広がりを見せた3シリーズ クラス上へ迫る雰囲気を醸成したE21型 しなやかさの中にある操る面白さ 才色兼備なオールラウンダーと呼べるG20型 UK編集部が初代と現世代を比較

飛躍的に進化した2代目3シリーズのE30型

BMWはE21型3シリーズを、130万台以上販売した。6気筒エンジンも途中から選べたが、その大半は4気筒だった。2002 ターボで注目を集めたターボチャージャーは、1981年のグループ5レーサー、320i ターボで復活するが、市販はされていない。

1982年に2代目、E30型へモデルチェンジ。ここから、3シリーズは飛躍的に進化していく。4ドアサルーンが設定され、コンバーチブルとステーションワゴンも選択肢に加わった。ディーゼルエンジンが選べるようになり、1986年には初代M3が登場する。

ライト・ブルーのBMW 320 オートマティック(E21型)と、グレーのBMW 320i Mスポーツ(G20型)
ライト・ブルーのBMW 320 オートマティック(E21型)と、グレーのBMW 320i Mスポーツ(G20型)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

220万台が提供され、最高出力はベーシックな仕様の87psから、M3 エボリューションの241psまで3倍近い幅があった。先進的なABSや、四輪駆動も導入。見た目を差別化するMスタイリングキットも、お好みで選べるようになっている。

ターボエンジンは、6気筒ディーゼルの324tdで市販化。このE30型が、以降の3シリーズの大枠を作ったといっていい。

3シリーズで最も売れた世代、E46型

2007年に提供されたE90型M3には、自然吸気の4.0L V8エンジンが載った。デュアルクラッチATや、プラグイン・ハイブリッドも、現代的な技術として導入された。しかし、基本的なパッケージングはE30型から代々受け継がれている。

また、運転の魅力を確かなものにした世代でもある。M3へ手が届かないドライバーでも、洗練されたロードマナーで、駆け抜ける楽しさを享受できた。AUTOCARのライバルによる比較試乗では、常勝状態といって良かった。

BMW 320i Mスポーツ(G20型/英国仕様)
BMW 320i Mスポーツ(G20型/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

3シリーズで最も売れた世代が、6年で交代したE36型の後継となる、E46型。1998年に発売され、約330万台に達している。高級感ある優雅なフォルムをまとい、6気筒エンジンやMTの指定も可能で、多くの人の期待へ応えた。

インテリアも上質で、長距離移動を快適にこなせた。ディーゼルエンジンのステーションワゴンは、家族にうってつけだった。M3には、究極形といえるCSLが登場。S54型3.2L直6エンジンは、一度聞いたら忘れられない吸気の美声を奏でた。

2025年の才色兼備なオールラウンダー

SUVの台頭とともに、3シリーズは勢いを弱める。それでも、E46型のテンプレートを踏襲したE90型は、約310万台がラインオフしている。

動的能力が明確に進化したF30型では、2ドアボディが4シリーズへ分派。10年が過ぎた今でもしっくりこない、というファンは少なくないのでは。他方、340iは直6エンジンでMT、FRというパッケージングを持つ最後の3シリーズになった。

BMW 320i Mスポーツ(G20型/英国仕様)
BMW 320i Mスポーツ(G20型/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

そして、現行の7代目がG20型。2019年の発売から6年が経過するが、販売数は最近やっと100万台を超えたそうだ。今のところ、歴代で最も売れていない世代と呼べる。だからといって、完成度が低いわけではない。

むしろ2025年の量産車では、最も才色兼備なオールラウンダーだといっていい。特に、320i Mスポーツは。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BMW 3シリーズ E21型とG20型の前後関係

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