F1、マイケル・マシ退任 「満場一致」で決定 昨シーズン最終戦での騒動が起因

公開 : 2022.02.18 06:25

FIAは、F1レースディレクターのマイケル・マシが退任することを発表。レースシステムも一部変更されます。

後任は2人交代制 無線通信に制限も

FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、F1レースの審判方法を広範囲に渡って見直すとともに、マイケル・マシをレースディレクターから解任し、一連の手続き上の変更を導入することを明らかにした。

ベン・スレイエム会長は2022年シーズン開幕に先立ち、昨シーズンの最終ラップで2位のマックス・フェルスタッペンがセーフティカーの後ろで1位のルイス・ハミルトンに追いつくことを許し、実質的にチャンピオンシップを渡してしまったことを受けて、この改正を実施することになった。同氏は次のように語っている。

F1レースディレクターを退任するマイケル・マシ
F1レースディレクターを退任するマイケル・マシ

「前回のF1アブダビGPと2021年シーズンで起きたことの詳細な分析から結論を導き出し、わたしは審判およびレース演出について徹底的な改革を提案しました。これはF1 CEOとチームのプリンシパルたちから満場一致で支持されました」

システムの刷新には4つの重要な要素があり、その1つ目が「バーチャル・レース・コントロール・ルーム」の導入だ。ベン・スレイエム会長はこれを、サッカーで使われているビデオ・アシスタンス・レフリー(VAR)になぞらえている。レースディレクターはこれを使ってリアルタイムでレギュレーションを適用でき、レース後のレビューやヒアリングの必要性を最小限に抑えることができるようになる。

次に、レース中の無線通信を制限し、「レースディレクターをいかなる圧力からも守り、平穏に決定を下すことができるようにする」予定だ。チームはレースディレクターと連絡を取ることができるが、より公式で規制されたプロセスを経ることになる。

また、昨シーズンのアブダビGPの結果を受けて、セーフティカー導入後のドライバーの走行に関するルールが見直される。この新ルールに関する最終決定はまだなされていないが、今シーズン開幕前に合意される予定だ。

マイケル・マシはFIAの中で新たな役割を与えられることになる。彼の後任には、元DTMレースディレクターのニールス・ウィティヒとWECレースディレクターのエドゥアルド・フレイタスが交代で就任し、元F1レースディレクター代理のハービー・ブラッシュが補佐する予定である。

ベン・スレイエム会長は、この改革が世界モータースポーツ評議会の支持を得ているとし、次のように述べている。

「これらの構造改革は、力強い発展と、ドライバー、チーム、メーカー、オーガナイザー、そしてファンの正当な期待に応えるために極めて重要です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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