【5年ぶり】国産の新車販売 2020年度は500万台割れ 半導体不足、今後の影響は?

公開 : 2021.04.02 06:25  更新 : 2021.10.11 09:41

2020年度の新車販売台数が発表。国産車は、500万台の大台を割りました。2015年以来5年ぶりのことです。今後の展望とあわせて解説しましょう。

3月単月は、前年超え 61万台

text:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

2021年3月の新車販売は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売が落ち込んだ前年の反動が表れる形となった。

日本自動車販売協会連合会がまとめた3月の登録車の新車販売台数(速報値)は、前年同月比2.4%増の38万4114台と2か月ぶりに前年超えを記録。

半導体の供給問題は、自動車メーカーにとってのアキレス腱。ホンダは生産調整の影響が3月の結果にもあらわれた。
半導体の供給問題は、自動車メーカーにとってのアキレス腱。ホンダは生産調整の影響が3月の結果にもあらわれた。    上野和秀

一方、3月の軽自動車の国内新車販売台数(全国軽自動車協会連合会まとめ:速報値)は、同10.9%増の22万8889台と6か月連続でのプラスを達成する。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は同5.4%増の61万3003台と、6か月連続での前年超えを成し遂げた。

なお、2020年度(2020年4月~2021年3月)の成績は、登録車で前年度比8.9%減の289万8884台と4年連続のマイナス、軽自動車で同5.3%減の175万7748台と2年連続のマイナス。

トータルで同7.6%減の465万6632台と、2年連続で前年度実績を下回る。年度成績で大台の500万台割れは2015年度以来、5年ぶりのことだ。

登録車の3月のブランド別新車販売台数では、半導体不足で減産および生産停止を余儀なくされたホンダが、前年同月比13.4%減(3万4148台)、スバルが同0.1%減(1万3110台)と前年割れを記録。

また、前年の3月は新型ロッキーの発売後で販売成績が大きく伸びていたためにその反動が出たダイハツは、同50.0%減(5152台)とマイナスに落ち込んだ。

一方、トヨタは同6.3%増(18万1716台)、日産は同19.7%増(4万1741台)、スズキは同0.1%増(1万4440台)、マツダは同3.4%増(2万5212台)、レクサスは同2.1%増(5857台)、三菱自は同32.3%増(6021台)と前年超えを達成した。

軽自動車市場についても詳しく見ていこう。

Nボックス改良、ホンダ軽は増

軽自動車の3月のブランド別新車販売台数では、eKシリーズの販売に一服感が出た三菱自が前年同月比5.7%減(7567台)、前年に好成績を記録したマツダが同33.3%減(4106台)とマイナスに落ち込んだほかは、すべてのブランドが前年実績超えを成し遂げる。

首位に立ったのはスズキで、同10.0%増(7万352台)を達成して、2か月連続でのシェアトップにつく。

軽の市場は1~3月がセールスを伸ばす時期。Nボックスのマイナーチェンジ、Nワンのフルモデルチェンジによって、ホンダは軽に限ってみると、半導体不足のなかにあって前年同月比20%プラスに。
軽の市場は1~3月がセールスを伸ばす時期。Nボックスのマイナーチェンジ、Nワンのフルモデルチェンジによって、ホンダは軽に限ってみると、半導体不足のなかにあって前年同月比20%プラスに。    上野和秀

首位争いを繰り広げるダイハツは同10.9%増(6万7226台)を記録したものの、前月と同様に第2位に落ち着いた。

また、新型Nワンを発売するとともにNボックスの一部改良を実施したホンダは同20.4%増(4万5935台)。新型ルークスの販売が好調な日産は同14.1%増(2万7385台)とプラスを成し遂げる。

一方、OEM供給を受けるブランドでは、トヨタが同20.6%増(3704台)、スバルが同5.7%増(2603台)と前年超えを達成した。

今後の展望 関係者の声

3月の新車市場の動きについて業界団体の関係者は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売が伸び悩んだ前年の反動もあって、3月はプラスを記録した。ディーラーなどでは、集客の回復傾向も出ている。ただし、一昨年(2019年)のレベルにはまだ及んでいない。懸念していた自動車用の半導体の不足による減産、それに伴う需給ギャップも、一部では残っている」と解説

今後の展開については、「半導体の不足は、生産の回復や調達先の確保などで徐々に解消されつつある。4月以降は、半導体不足などによって発表が遅れていた新型車や特別仕様車が相次いでデビューする予定なので、プラスを維持する可能性は十分にある。一方、新型コロナウイルスおよび変異株の新たな感染拡大による市場への影響は懸念材料」と指摘した。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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