まだまだ頑張る現役編集長の奮闘録

2016.10.05

若手社員のドライビング特訓をしました

 
当社の若手、上野太朗君のポルシェ996 ‘シャカイチ号’ の記事は、大変な好評を得ているようだ。社会人1年目の新人がいきなりポルシェを買うという、普通なら有り得ないような話だから、当然、いろいろな障害やハプニングが起き、その都度、読者の共感を誘っているのだろう。私も、購入を勧めたこともあって半ば、はらはら、半ば、笑いながら、暖かく見守っているつもりだ。

先日は、久しぶりに名古屋の天野さんの主催するジャパン・クラシック・ツアー2016に参加したが、その時も、上野君が996で参加したいというので、助手席に乗ってナビゲーターをやってみた。その顛末は、彼の記事に詳しいのでそちらを読んでほしいのだが、若い社員のドライビング・スキルも含めた教育と言う点で、少し忘れていた点もあり、これではいけないと思い、昨日は峠道で特訓を行った次第だ。

 

 
翻って考えてみると、私がかつて経営していたネコ・パブリッシングでは、特に90年代においては、3ヶ月に1回ぐらいの頻度で、筑波や岡山国際などのサーキツトを借り切り、社長以下、編集部員全員で練習に行ったものだ。何せ、社長の私自身がフェラーリ・チャレンジに出たり、ツアー・オートやラグナ・セカ(モンテレー・ヒストリック・オートモビル・レース)、ミッレ・ミリア(イタリア本国)に出ているのだから、社員だって遊んでほしい、そしてドライビング・スキルを上げて欲しい、と思っていた。その時の講師は、太田哲也選手を始めとする錚々たるプロ・ドライバーの面々で、今考えれば、随分と贅沢だったなあと感じる。

その当時、偶々、ホンダの栃木研究所でジャーナリスト向けの試乗会があり、ネコ・パブリッシングからもカー・マガジンの編集長であった安東君が参加した。その時の試乗車の中に、フォーミュラカーのF3マシンがあり、並み居る高名な雑誌の編集長や評論家の多くの方が、スタートすら出来ずに苦労している中で、彼はきれいにスタートして、きっちりとエンジンを回して周回し帰ってきたのだ。

 
実は、当時、ネコ・パブリッシングには中古のF3マシンが2台あり、誰でも乗ることが出来たのである。編集者ならフォーミュラだって乗れなくては、と私自身が思っていたからなのは言うまでもない。更に笑ったのは、何とか乗り終えたある人が、「レヴ・カウンターが壊れていましたね」と安東君に話しかけてきたのだ。そう、大抵のフォーミュラ・マシンのレヴ・カウンターは、4500rpmぐらいからしか針が動かないのだ(つまり、彼は4500rpm以下でしか走っていなかったということ)。

ということで、私の教育の意図は見事に実現できたのだが、ホンダも随分だと思うのは、普段、ジャーナリストといえども、フォーミュラなんかに乗るチャンスは殆ど無いわけで、いきなりノン・シンクロでメタル・クラッチのフォーミュラに乗れというのは無謀で、ただ単に参加者に恥をかかせるためだったのかとも考えられ、何となく底意地の悪さを感じてしまうのだ。

最近、このクルマ業界で、ネコ・パブリッシングの卒業生がとても多い、とよく言われるが、それは、あえて言わせてもらえれば、当時の教育の良さの結果なのかもしれない。無論、彼らひとりひとりの、懸命な努力と研鑽があって、始めて今があるのは言うまでもないことではあるが。

 
 

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